クラウドサービスについて話す ブーピンダーベントレー社上席役員 |
11月初旬、ベントレー・システムズは、立て続けに企業提携についてのニュースリリースを発表した。アドビシステムズ社、ブルービームソフトウエア社との3D-PDFを使った「i-model」に加え、マイクロソフト社のクラウドサーバー技術「Azure(アズール)」を使ったクラウド関連技術の提携もその一つだ。
マイクロソフト社のアズールは、別名「クラウドOS」とも呼ばれる。これまでマイクロソフト社が発売していたサーバー向けOSは、あくまで企業内のサーバーにインストールして使うものだったが、アズールはマイクロソフト社が立ち上げたデータセンター内のサーバーの使用を前提にしている。ハードウエアもデータベースもストレージもマイクロソフト社のデータセンターに置かれることになる。
クラウドの分かりやすい例としては、グーグルが現在提供しているGmailやグーグルドキュメントのようなもので、基本的にはインターネットブラウザーでサーバーにアクセスして、個々のパソコンに依存しない環境を構築できる。
ベントレー社はこのクラウドを活用して、AECO(設計、エンジニアリング、建設、運用)の全段階で、世界のどこにいてもデータ共有できるサービスを目指す。
同社のブーピンダー・シン上席役員は「当社ユーザーの大半が、設計図書の受け渡しや各種書類の管理に膨大な手間とコストをかけている。ベントレーのクラウドを利用した転送サービスでは、このプロセスを合理化・自動化できる」と話す。
ベントレー社は、「プロジェクトワイズ(同社の協業プラットフォーム)」「アセットワイズ(同じく運用情報モデリングプラットフォーム)」というシステムを開発しているが、書類自体にセキュリティーとモバイラビリティーを与える「i-model」と、その転送手段となるクラウドサービスを使って、AECO全般を通した情報の一元化が実現できると考えている。
・多様組織の情報共有解決
ベントレー社のポータルサイト |
大規模なプロジェクトになるほど、設計、構造設計、ゼネラルコントラクター、サブコントラクター、ファブリケーター、監督官庁、発注者、運営管理者など、そのワークフローに関わる組織や人の数は増える。さらにそれぞれの人たちの間で、日々状況が変化する情報を共有することは非常に難しく、現在でも多くの手戻りが発生している。
クラウドは、多くの組織が参加する建設事業において、このような責任の切り分けや更新情報の厳格な管理という難題を解決できる可能性を持っている。
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