九州地方整備局博多港湾・空港整備事務所は19日、福岡市の博多港中央ふ頭で、岸壁改良工事のジャケット据え付けを報道陣に公開した=写真。整備が完了すれば日本に寄港するクルーズ船として最大級のクァンタム・オブ・ザ・シーズ(16万t級)が停泊できる。工事はみらい建設工業が担当している。
近年、アジアのクルーズ需要の増加に伴い、博多港へのクルーズ船の寄港回数は2014年の115回から16年の328回に増加し、中央ふ頭のクルーズセンターの利用者は15年5月の開設以降、100万人を超えるなど需要は増加している。しかし、船舶の大型化が進み、博多港では岸壁延長不足のために大型クルーズ船に対応できず大きな機会損失となっている。
九州地方整備局は、全長348mのクルーズ船クァンタム・オブ・ザ・シーズなどを利便性の高い中央ふ頭に受け入れるため、16年7月20日に岸壁改良工事に着手した。工事は鋼管などで組み立てるジャケット工法の桟橋式を採用。一般的な重力式と異なり、事前に製作したジャケットを杭に据え付ける桟橋式は工期を短縮できる。ジャケットは長さ60m、幅20m、重量約340t。北九州市で製作し、前日に700tの吊起重機船とともに博多港に到着した。
この日の作業では、吊起重機船がジャケットを海上で固定し、博多港内を通る船舶の動きや波の状態を確認した上で、複数のモニターで位置を調整しながら慎重に作業を進めた。今後は、ジャケットをセメントで固定した後、コンクリート床版を設置して舗装する。工事完了は3月24日を予定している。岸壁の供用開始は4月からとなり、5月にはクァンタム・オブ・ザ・シーズが中央ふ頭に初めて寄港する。
最終的には世界最大級の全長362mのクルーズ船オアシス・オブ・ザ・シーズ(22万t級)の寄港に対応するため、供用開始後も中央ふ頭の岸壁の残り140mを整備する。工事は既に公告しており、2月に開札する。工事費は13億2000万円。浚渫工事などを含めた岸壁全体の事業費は34億円となる。
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