2014/06/29

【本】『民家の再生II~転用事例編』 古民家の再生・活用広めた名著の第2弾

1989年、日本がバブル景気に浮かれあちこちにファッショナブルな住宅やビルが建設され、地方独自の文化とともに古民家は、解体の危機に瀕していた。
 こうした中、時代に抗し古民家の価値を見いだし、その良さを広く普及させる起爆剤として『民家の再生-降幡廣信の仕事-』が発刊された。古民家を現代的に住み続けることができるように再生した多くの事例を紹介した同書の内容は、発刊から四半世紀を経て、いまだ色あせることなく、読み継がれている。

 『民家の再生II~転用事例編』は、その続編であり、住宅ではなく、医院、美術館、ギャラリー、花屋、催事場、食事処や温泉旅館などとして再生・活用されている24の事例を紹介している。
 それは、前作発刊を契機に、日本の景観を支える古民家の価値が再認識され、再生・活用のアイデアが専門家のみならず、広く一般の施主に浸透、蓄積されてきたことを物語っている。
 未来に民家を伝承するために、さらに日本建築のみならず、広く日本の景観、文化を考える上で、貴重な資料ともなる1冊である。前作とあわせて、長く読み継がれることは間違いない。 (建築資料研究社・4000円・税別)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

Related Posts:

  • 【ステマ】建設通信が書籍『つなぐまちづくり シビックデザイン』を発刊!! 日刊建設通信新聞社は、『つなぐまちづくり シビックデザイン』(吉田邦雄、高橋徹、齋藤繁喜、鳴海雅人、澤井一善著)を刊行、発売しました。 本書は、大災害に対して防災・減災に役立つ公共建築・公共空間のあり方について「日常的に利用しているものを、地域に即した形で、ちょっとした工夫で、いざというときに役立たせる」という視点からの研究成果をまとめたものです。 避難所としての利用を想定した学校施設や、災害時に機能転換が可能な大規模複合施設などの建築事例… Read More
  • 【ステマ】建設通信より『スマートコミュニティ時代の建築物情報化ガイドブック』発刊!! 日刊建設通信新聞社は『スマートコミュニティ時代の建築物情報化ガイドブック マンション・戸建て住宅編』を刊行、発売しました。 本書は、新築あるいは既存の建物内に、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)、MEMSによるエネルギー管理など、最先端のシステムに対応する情報通信設備を構築、維持管理するためのノウハウを集約し、機器の選定や施工上の留意点などが具体的に把握できるよう編集されています。 建築物情報化について基本的な知識が分か… Read More
  • 【絵本】日本の土木事情に警鐘を鳴らす『ふたつの国の物語』 ランドスケープ・アーキテクトの小川総一郎氏による子ども向けの絵本。文明の進んだシブの国と、未開のアトの国。立派なインフラが整備されたシブでは若者の土木離れが進み、アトから安い労働力を受け入れることに。アトの若者は熱心に働き、技術を身に着けて大きな工事も任されるようになる。その先に待っているのは、いま日本で問題になっている事態そのものだ。絵本という素材を通し、土木産業の抱える構造を端的に示す。暖かなタッチの水彩画で描かれる現場は、輝いて見… Read More
  • 【ステマ】建設通信より『公共工事入札における競争の限界と今後の課題』発刊!! 日刊建設通信新聞社は、『公共工事入札における競争の限界と今後の課題 談合が許されないとすれば、どういう発注方法をとればよいのか?』(吉野洋一著)を刊行、発売しました。 本書は、長く建設産業行政を担ってきた著者の経験をもとに、入札契約制度についての歴史的経緯を丁寧に解説した上で、建設業者の視点も踏まえながら、公平・公正な発注方法がどうあるべきか、現状の問題点と今後の課題などを分かりやすく論述しています。 発注者、受注者、建設コンサルタントなど… Read More
  • 【次世代の左官へ】大御所、阿食更一郎氏が80年を振り返る 阿食更一郎氏  38歳の若さで左官工事業の大手企業・亀井組の社長に就任し、大阪府左官工業組合理事長や全国竹和会会長などを歴任した阿食更一郎氏が回顧録『以人為師八十年歴程』をまとめた=写真。執筆の途中、「こんな回顧録が何かの役に立つのか」と葛藤したこともあったが、完成した全157ページの労作からは、苦労をいとわず、信念を貫くことの大切さが伝わってくる。 知人からの薦めを受け、「いま書き残さないと、後になって思い出すこともできない」と執筆作… Read More

0 コメント :

コメントを投稿