2014/06/20

【記者座談】意気込みみなぎる建材業界 見据える五輪は会場計画見直し

A 団体の総会シーズンも後半となっているが、例年と比べて何か変わった点などはあっただろうか。
B 建設コンサルタンツ協会が総会を開いた5月29日の当日に、改正公共工事品質確保促進法が成立した。大島一哉会長は総会だけでなく懇親会でも、「改正の内容は一歩も二歩も、大きく前進したものと評価できる」とあいさつで強調していた。
(写真は日本技術士会の懇親会)


C 日本建設業連合会や全国建設業協会など元請団体は昨年に引き続き、盛況で人が多かった。これまでと雰囲気が違ったのは、建設産業専門団体連合会だね。太田昭宏国土交通相は昨年も懇親会に来たけど、ことしは国交省から国土交通審議官、技監、土地・建設産業局長、官房技術審議官を始め、事務次官を除く建設業行政、発注行政の幹部が勢ぞろいしていた。全国建設産業団体連合会にも国交省幹部が多かった。以前は、課長が来るかどうかという感じだったのに、本当に時代が変わった。それだけ、国交省の政策が社会保険未加入対策や公共工事設計労務単価の引き上げなど、技能労働者に目を向けているということだろう。
D 建材業界は例年にも増して、意気込みがみなぎっていた。消費増税後の住宅市場の不透明感を払しょくしたい思いがあるからだろう。印象的だったのは、日本建材・住宅設備産業協会の新会長に就任した藤森義明LIXIL社長のあいさつで、リフォーム市場活性化に向けた持論を展開し、「この機をチャンスととらえるべきだ」と強調した言葉に業界の思いが象徴されていた。
E 設立60周年の節目を迎えた日本サッシ協会も、堀秀充YKKAP社長が新会長に就任し、会見で「人手不足などの懸念材料はあるが、需要拡大を業界発展のチャンスにとらえる」と言い切ったのは印象深かった。2020年の東京五輪という目印ができたことで、明確な目標を持って運営しやすくなったという背景もあるだろう。A その五輪だが、10日の東京都議会定例会で、舛添要一都知事が会場計画の見直しを表明した。
F 突然の発言のように見られたけど、実際は安倍晋三首相や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長などへの根回しをした上でのことのようだ。
G 12日の東京オリンピック・パラリンピック調整会議の前には、国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のコーツ委員長の了解も得るなど、見直しに向けた作業がスムーズに進んでいることからしても、そうなのだろう。
F しかし都庁内は寝耳に水といった状態だったようで、数日は担当職員たちも右往左往していた。会場計画の何を見直すのかもまったく分からないといった手探り状態で進めている感じだった。
G 調整会議後の会見で森会長は、湾岸地域での新施設整備には課題があると指摘していた。
F 都民生活に直結する貨物が集積する港や、それを各地域に輸送する道路を含むエリアの開発は本当に可能なのかと疑問を示していた。ただ選手村から8㎞圏内に競技施設の85%が集約するという原則は守るべきだとも強調していた。
A 一方で、舛添都知事は17日の都議会定例会で、近隣県も含む既存施設の活用という新たな策を挙げていたようだが。
F 五輪の開催日時は決定している。施設整備が間に合わないという事態は絶対にあってはいけないから、不安要素をできる限り少なくしていこうということなのかもしれない。いずれにしても25日には調査団が来日し、中間報告をする予定だという。早急に見直し作業を実施し、滞りなく施設整備に着手してほしい。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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