マンションの外断熱工法は、内断熱工法に比べ割高で、国内ではあまり普及していない。新日本建設(千葉市美浜区)が開発した外断熱工法「断熱革命」は、コンクリート型枠を兼ねた断熱パネルを採用し、工期や工費を抑制することで、内断熱工法との価格競争を可能にした。外装材と断熱材の間に独自の通気層も設けたことで、結露を防止するなどさらなる快適性を高めているのが特長だ。
外断熱工法は、「内断熱工法に比べて快適だと認知されている」(新日本建設)が、「従来の外断熱は、内断熱より1、2割費用が高く、マンションの販売価格に転嫁されてしまう」課題があった。そこで「周辺の内断熱のマンションと同等の価格で提供できないか」と考え、断熱革命を開発した。
◇4層で結露防止
断熱革命は、外装材、下地材、通気層、断熱材の4層で構成。通気層を設けたことで、躯体や室内から発生する湿気が断熱材を通して排出され、結露を防ぐ。
現場では、鉄筋工事後に下地材や通気層、断熱材が一体となった「型枠兼用断熱パネル」を立て込み、コンクリートを打設。外装仕上げを経て作業は完了する。
従来の外断熱工法に必要な打設後の型枠解体、断熱材取り付け、外装下地工事が不要となる。また、型枠木材の使用量を大幅に削減できる。その結果、従来の外断熱工法に比べ工期や工費を抑制できる。2006年に国土交通省の耐火認定書を、10年には特許を取得した。
これまでに採用した4件の断熱革命のうち、2件は自社開発の分譲マンション。その一つ「エクセレントシティ大森」(東京都品川区)は12年度にグッドデザイン賞を受賞した。デザインだけでなく、優れた環境性能も評価された。購入者からは「前に住んでいたマンションより電気代が安くなった」と好評で、結露抑制など衛生面でも評価が高い。
実際にRC外断熱とRC内断熱の自社施工マンションを使い、9月に室温20度でエアコンを停止したところ、室温の上昇が続く中、12時間後には内断熱より5.5度も低い状態となった。
現在、断熱革命の採用は、セットバックした形状や低層ではなく、現場での作業性が高い単純な「建物形状」と、外断熱の需要が高い「立地特性」に応じて判断している。この2つを満たす場合、今後も「自社開発物件で積極的に採用していく」ほか、他社開発物件も「設計・施工一括で受注できれば提案していく」考えだ。問い合わせは、同社・千葉市美浜区ひび野1-4-3。電話043-213-1111。
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