2014/06/01

【建築】外装ルーバーは自社施工 自然を取り込んだ菊川工業東京オフィス

特徴的なデザインの外装ルーバーは金属工事を自社で施工し、継ぎ目のない印象的な外観を生み出した
世界的な建築金属製品の金物メーカー、菊川工業(東京都墨田区、宇津野嘉彦社長)の東京オフィスが墨田区菊川に竣工した。都心部における新たな営業拠点兼多目的ホールとしての使用が期待されている。
 17日に開かれた竣工式典で設計を担当したスタジオ・アルテックの室伏次郎代表取締役は「自然を内部に取り込み、人間らしい行為の余地を残した建築を目指した」と振り返った。

 施工にあたっては同社の製品と技術力を結集。特徴的なデザインの外装ルーバーは金属工事を自社で施工し、継ぎ目のない印象的な外観を生み出した。また内部での金属部分についても自社製品を使用しており、同社の代名詞とも言える「アップルストア」の金属外装材も潤沢に使用している。
 内部は1階の大部分をエントランスホールとしたほか、2階に多目的スペース、3階に事務室をそれぞれ設けた。

2、3階部分に外廊下を設けることで外気を取り込んだ独特の解放感を演出
このうち2、3階部分には外廊下を設け、外気を取り込んだ独特の解放感を演出する。
 室伏代表取締役は「建築内部の環境をコントロールする近代的な考え方には限界がある」と強調した上で、「構築された外気の空間で、季節とともに変化することが人間の本来のあり方」と語る。
 また周囲が住宅街であることから外廊下には外装ルーバーとしてすだれ状のエキスパンドメタルを設置。「布が揺らめくイメージ」(室伏代表取締役)の変化を加えて外が見え隠れする状態をつくり、解放感とプライバシー保護を両立させている。
 規模はS造3階建て延べ398㎡。
 構造設計はTIS&PARTNERS、設備設計はZO設計室、施工は醍醐建設が担当した。 
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