A 建築基準法などの建築法体系全体が目指すべき基本的方向を整理するため国土交通省が設置した「建築法体系勉強会」の具体的検討テーマが見えてきたね。建築基準の完全性能化も上がっている。
B 実務からみると完全性能規定化は現実的ではないのでは。阪神・淡路大震災を踏まえた基準法改正でも性能規定は話題になったが、結局、仕様規定も残った。
C あのときは、性能規定に対応できる構造設計者はほんの一握りしかいなかったからね。完全な性能規定になったら構造設計者が不足してしまう。
D 学校で性能設計を教えられる教師がほとんどいないのだから、仕方ないよ。これは現在も変わってないから、仮に完全性能規定化になったら教育段階まで影響が出てくるし、設計できる実務者の数がそろうまでには時間も社会的コストもかかることになる。
A 構造だけでなく、設備もある。設備は他の関係法制度も多いから一層難しい。
B 設計者資格のあり方も絡んでくる。オールマイティーでいいのかという議論は避けては通れないと思う。
D 安全・安心に「ヒト」からアプローチするのか、「モノ」からアプローチするかだろう。「ヒト」つまり資格のレベル、質をものすごく高く設定すれば、性能規定化しても裁量に任せられるし、確認検査も要らない。そのためにはオールマイティーはあり得ないから専門分化せざるを得ない。逆に、「モノ」つまり建物からアプローチするなら、社会的コストは掛かるけど性能を証明する三重、四重のチェックをすればいい。それでいいなら、現在の建築士制度でもいいのではないのかな。
B 構造計算書偽造事件で建築士制度も議論された。その中で彼らを計画、構造、環境に整理し直すには、もう一度試験をしないとだめだろうという方向も出たけど、資格者の猛反発があったよね。とすると、いまより複雑な検査システムの選択となるのかな。
C そもそも建築法体系勉強会は、馬淵澄夫前国土交通相の肝いりで設置され、スケジュールはおおむね3年を見ている。来年度以降、法制度に踏み込んだ議論を進めるため、方向性を明確にする4つの論点を抽出した。来年度以降の検討体制は不明だけど、今の勉強会を一度解散して新体制を構築するとか、勉強会に下部組織を設けるとか、いずれにせよ実務レベルでの検討に入ることは間違いないようだ。
E 戦後つぎはぎして改正してきた建築基準法が問題だらけで、その最たるものが2000年の法改正の性能規定の導入だった。建築主事も設計事務所も、つまり建築確認の現場が使いこなせないシステムを、未成熟なまま導入した。そこには、観念的な施策のあり方が根本にあった。2000年の大改正は、そのほかにも新技術の大臣認定を廃止して、柔軟に対応し新技術実施への道を開くべきところを逆に閉ざしてしまった。最低基準の規制法なのだから、もっと現実を直視した法律にしなければならない。それなのに、今回の審議も学識者だけで机上の議論をし、明快な性能規定という訳の分からない観念を持ちだしている。もっと実務的な議論をしなければ、基準法は建築確認の現場を混乱させる代物になってしまう。
D 最後のところは政治判断になるのでは。でも、民主も自公も、建築とか設計について基本的センスが欠落しているとしか思えない先生が圧倒的に多い気がする。
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