2011/08/29

世界初!養生時のコンクリデータを記録/「スマートセンサ型枠」を東大建築材料研らが開発

 東京大学建築材料研究室(野口貴文准教授)と建築資材の総合商社・児玉(本社・大阪市、児玉直樹社長)は、世界で初めて、「スマートセンサ型枠工法」を開発した。コンクリート表層部の温度、外気温の履歴を計測し、型枠の存置状態と期間を記録する各種センサーを一括して樹脂型枠に搭載した。養生期間の躯体表面の全データーが計測、記憶できる。
 各種センサーを搭載した樹脂型枠をレンタル方式で提供することで、スマートセンサー内部のデータを施工者だけでなく第三者機関が一元化して集中管理できるようになり、コンクリートの強度発現と経緯の情報を第三者が保有し、証明することができる。
 工法は、温度、姿勢、静電容量の各センサーとリーダー(無線読取機)、情報管理アプリケーションで構成し、コンクリートの品質、証明につなげる。
 すべての型枠に搭載したスマートセンサーによってコンクリートの履歴温度、打設開始時刻、凝結開始時刻、養生期間(型枠存置期間)、型枠の転用回数--など、型枠の情報を構造体表面の概ね全領域で漏らさず把握する。
 センサー内に自動記録した情報は、リーダー、情報管理アプリケーションによって現場でリアルタイムに呼び出すことができるほか、第三者機関が一元管理、保有し、時系列情報を任意の時点で証明書として発行することができる。
 また、型枠用合板(コンクリートパネル)は短期使用サイクルであるため、森林破壊を誘発する大きな要因の一つになっているが、スマートセンサーを搭載する型枠は、完全リサイクルが可能な樹脂であるため、熱帯雨林材伐採の抑制や生態系の保護につながる建設資材で、CO2の削減や炭素固定に貢献し、現場発生の産業廃棄物を抑える。

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