2011/08/05

ヘドロが津波を抑える盛土材料に/仙台市内で土木学会が材料化試験

仙台市内での材料実験
 東日本大震災で大量に残された津波堆積物(ヘドロ)の処理に光明が差し込みつつある。土木学会が仙台市内で、砂質系のヘドロを道路などのかさ上げ材料に使える実験を行い、その実現にめどをつけた。大量のヘドロを盛土材料に再利用できれば、津波を押しとどめた仙台東部道路のように県道10号線をかさ上げする用途に使える。またヘドロ自体の処分先も選択肢が広がる。
 この実験は、8月4日に土木学会復興施工技術特定テーマ委員会(吉田明委員長)が仙台市井土処分場で行った。処分場に運び込まれたヘドロを分級して、がれきを再生した砕石の上に盛土し、振動ローラーで締め固めた。
 その結果、仙台市の荒浜地区、井土地区のものは国土交通省が定める第1種建設発生土として、蒲生地区は第2種建設発生土としてそのまま使えるレベルだということがわかった。
 ヘドロは市の負の遺産ともなっており、これを受けた仙台市では「明るい兆しが見えてきた」と評価している。
 同委員会ではこの後、粘性土系の材料も含む農地のヘドロについても試験を進め、年内に報告書としてまとめたい考えだ。

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