2011/08/18

旧精華小校舎の保存を訴え/JIA近畿が近畿産業考古学会らと共同要望


 日本建築家協会近畿支部(JIA近畿、小島孜支部長)は11日、旧精華小学校(大阪市中央区)の保存を求める要望書を、精華小校舎愛好会(分田よしこ代表)、近畿産業考古学会と共同で大阪市教育委員会事務局に提出した。
 小島支部長は「建築家として知恵を絞るので、アイデアが必要であれば申しつけてほしい」と進言した。また、近畿産業考古学会を代表して出席した庄谷邦幸大阪市公文書館館長は「大阪市の誇りである学校を決してなくしてはいけない」と訴えた。
 要望書を受け取った教育委員会事務局総務部施設整備課の職員は「貴重な歴史的建造物であることは十分認識しているが、市の財政状況は非常に厳しく、また開発が必要な地域でもあり、大変苦慮している」という平松邦夫市長の思いを伝えた。
 JIA近畿ではこれまでも、保存再生部会(石井和浩会長)を中心に近代建築の保存活動を行っており、近年では大阪中央郵便局舎の保存を訴えている。
 旧精華小学校校舎(RC一部SRC造地下1階地上4階建て)は1929年に竣工。大阪ミナミの繁華街の中心地に立地する。
 三木楽器本店(大阪市中央区)などを手掛けた建築家・増田清の設計により約2年半の工期で建設され、昭和初期の華やかな大大阪時代を代表する建築の一つとされている。また、地域住民の寄付によって建設費約60万円の全額が賄われており、市民による市民のための教育施設としても評価が高い。
 精華小学校が95年に閉校してからは、生涯学習施設(精華学習ルーム)や演劇場(精華小劇場)として活用してきたが、財政難に苦しむ大阪市は2007年に「16年度までに売却する」との方針を決定。準備が整い次第、売却手続きに入るとしている。

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