2011/08/26

覆面記者座談会・政権交代から2年 熱気と期待どこへ

熱気に包まれていた池袋
A 通常国会の会期末というより民主党の代表選が話題になっているけど。
B 意地悪な見方をすれば、代表選で騒いでいるのは、マスコミと民主党だけじゃないの。建設業界、特に地方業界からは「国政にはもう興味ない。うんざり」という声が多い。大体、2年で3人の首相が誕生するというのでは、民主党ももう自民党の批判はできない。
C 確かに、民主党が2年前の総選挙で300議席を超えて大勝し、『本格的な政権交代』『55年体制の終えん』などと言われた熱気は今、まったくない。
B 2年前の総選挙は8月30日。その前日の29日夜、最後の遊説場所に当時の与党自民党が選んだのは東京・池袋東口。対する民主党は同じ池袋の西口。東口と西口の往復も大勢の人でままならない状態の取材だった。
D 今考えると、政権交代から3カ月程度続いたよね。建設業界にとっては、マニフェストの公共事業削減や八ッ場ダム建設中止もあったし、業界陳情ルールが変わったことが大きな話題になった。
A わずか2年で民主党への期待感、政権交代に対する熱気がなくなったのはなぜだろう。
B 建設業界にとっては、鳩山首相の「コンクリートから人へ」発言と、前原誠司元国交相の発言と行動が民主党そのものを体現してしまったと思う。前原発言を良い意味で捉えれば、▽人口減少▽少子高齢化▽財政赤字--という日本が抱える3大問題を取り上げたことだ。ただ沖縄だけでなく米国も巻き込んだ普天間米軍基地移転問題、前原外相時代の中国漁船への対応を含め民主党政権は口先だけで終わった。財政赤字については自民党時代よりも財政規律が崩れ、結局2年連続して国債発行額を増やし史上空前の規模の予算編成になってしまった。
D でも主張している内容は真っ当だし、個別の議員は非常によく勉強していると思うけど。
C 確かに法曹資格を持っていたり、野党時代から掘り下げたテーマを持っている議員がいるとは思う。でも民主党の会議の現状を見てほしい。質問内容も稚拙だし勉強をしている雰囲気がない。単に政府側の説明を聞いて容認しているに過ぎない。

B 民主党は政治主導を掲げ、それが評価された。しかし現実は多くの場合、政務3役と一部だけで政策判断しているだけで政治判断はしていない。
A 国の根幹である外交と内政が心許ない。だから新たな政権交代をという声もあるけど。
B 誤解があるようだけど、仮に2年後の参議院選挙前に衆院を解散し総選挙の結果、衆院で自民と公明で過半数をとっても、政治の不安定さは変わらないことを理解すべきだ。参院で自公が与党になっても過半数に届かず結局、ねじれ国会が続くことに変わりはないのが理由だ。
D でもこの10数年間、高齢化による社会保障費増加による財政悪化速度を和らげるために、公共事業がスケープゴートにされ、今後も削減される可能性があるのは事実だと思う。
B 社会資本整備にとって最大の問題は、人口減少下で、既存ストックの維持・修繕も選択と集中に踏み切らなければ、効率的な公共投資が行えない時代に入っていることだと思う。だから本当に必要なのは、地域にとって災害対応であったり、既存ストックの維持・管理なり新規工事を担える企業を存続させる地域ごとの産業政策をそれぞれの地域の行政が実施できるかどうかにかかっている。逆に言えば、地元行政を動かす、地方建設業界の新たな腹のくくり方も必要になってくると思う。
A その意味でも地方建設業界は、国政の動向より地元の動向に関心が向いていると言えそうだ。

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