2011/08/22

大阪府庁舎機能移転、咲洲を断念/橋下府知事、低耐震性で決断

学識者と意見交換する橋下知事
 咲洲庁舎(旧大阪WTCビル、大阪市住之江区)への府庁機能全面移転を目指してきた大阪府の橋下徹知事は18日、全面移転を断念する考えを示した。庁内で開いた河田惠昭関大教授ら学識経験者との意見交換会で、咲洲庁舎の耐震性能の低さを指摘されたため。
 橋下知事は「これから調査するが、庁舎としての使用も難しいとなれば、咲洲庁舎からの全面撤退も考えなければならない」と述べている。
 咲洲庁舎は、大阪市が1995年に第三セクター方式で建設した大阪ワールドトレードセンタービルディングを、庁舎移転を目指す大阪府が、2010年度に購入したもの。11年3月から9部局が同ビルに移転し、6月から「咲洲庁舎」に名称を変更している。
 学識者との意見交換では、大手前の本庁舎と咲洲庁舎を同等の防災拠点として使用する「防災拠点のデュアル化」を考えていた橋下知事に対し、河田教授が「咲洲庁舎は地盤や電源供給などのライフラインについても多くの問題を抱えている」と指摘した。
 福和伸夫名大大学院教授は、上町断層地震や東南海・南海地震によって咲洲庁舎で大変な被害が想定されることを説明。「大手前本庁舎が損壊するときは咲洲庁舎も損壊している。咲洲庁舎のぜい弱性を解消するには中間階に免震装置を設置するか、高さを低くするしかない」と述べた。
 また福和教授は、超高層ビルは庁舎に適していないとし、「免震整備も減築も応急処置に過ぎず、恒久的な使用はお勧めできない」との考えを示した。

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