2013/08/11

【復興版】会計検査院、入札不調で報告書 復興工事の77%が応札者なし

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会計検査院がまとめた報告書「東日本大震災からの復旧・復興事業における入札不調について」によると、被災3県で2011年10月から12年9月までに入札された復旧・復興事業等にかかる工事の入札不調の発生割合は、直轄事業と補助事業を合わせて件数で21.1%、金額で11.2%となった。3県の中では災害査定決定額が最も大きい宮城県での発生割合が高い。不調工事の入札状況では応札者がいないものが77.1%と大半を占め、特に予定価格を事前公表した工事での不調は応札者なしが95.7%だった。規模別では予定価格が少額になるほど発生率も高くなる傾向となっている。

◇労働者・資材確保が困難

 検査の対象は、東北地方整備局と東北農政局、岩手、宮城、福島の東北3県および管内21市町で、予定価格1000万円以上の工事4538件(直轄事業1123件、補助事業3415件)、契約金額5622億9170万円(同2576億1636万円、3046億7534万円)について、入札不調の発生状況を分析したほか、入札不調対策の取り組み状況や東北3県と近隣の青森、秋田、山形3県に所在する建設事業者3000者に対して意識調査した。
 震災発生前の10年度における被災3県の入札不調の発生割合(件数)は、宮城県で4.6%、福島県で1.6%、岩手県では0.9%。これに対し、11年10月以降に入札された補助事業での発生状況をみると、宮城県は27.2%、福島県が14.2%、岩手県が6.9%と、いずれも発災前に比べて大幅に増えている。21市町では、宮城県管内の7市町が35.0%、福島県管内7市町で18.6%、岩手県管内7市町16.4%。事業主体別では件数、金額とも市町、県、直轄事業の順に高くなっている。
 また、入札不調が発生した場合に、再度公告し入札して落札者が決定した工事の、当初入札日から再度公告入札日までの期間について、3県・21市町の工事で確認できた267件をみると、3カ月を超えている工事は59件、うち6カ月を超えている工事も9件あり、再入札に伴う発注担当者の業務量増大に加えて、工事完成の遅延も懸念される結果となっている。

◇技術者数の不足が顕在化

 他方、被災3県と近隣3県に所在する建設事業者のうち、各県に登録されている事業者3000者を抽出して実施した意識調査では、被災3県927者、近隣3県979者の計1906者から回答を得た(回答率63.5%)。
 この中で、被災3県927者のうち、入札参加資格があるのに一般競争入札への参加を見合わせたことや、指名通知を受けたが入札を辞退したことがある事業者は71.1%に当たる660者。自社の技術者が手一杯であるとしたのが7割を超えるなど、労働者関係の理由が大半を占めた。
 今後の労働者や資材の確保見通しについて、被災3県の事業者が困難と見ているのは労働者では交通誘導員A、鉄筋工、型枠工など。資材は捨石、鋼矢板、生コンクリートなどを挙げる回答が多かった。会社の手持ち工事の件数や規模、技術者の数を考慮した今後の受注余力について、あまりないとした事業者は34.1%、ほとんど余力がないとしたのも13%あった。
 一方、近隣3県の事業者で、今後、復旧・復興事業にかかる工事を受注する予定がある、または受注を希望しているものは46.8%と約半数が参入意欲を示した。受注しようとする場合に懸念される事項では技術者や作業員の宿泊先の確保、資材価格の高騰、被災地の工事の入札参加資格などを挙げている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月8日



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