2013/08/05

【名古屋建設事情】名駅・栄地区で再開発が本格化 リニアインパクトも

大名古屋ビルヂング
名古屋では、2027年の東京~名古屋間リニア中央新幹線開業(リニアインパクト)を見据え、老朽化した施設の更新や開発が進められている。特に名古屋駅・栄地区周辺では、大規模交流圏の形成による経済効果が期待される半面、東京の交通圏に組み入れられることによってストロー効果による衰退が懸念される。名古屋市は都市機能整備を進めるため、特定都市再生緊急整備地域の拡大を国に申請し、7月に約110haから約286haへと拡大指定された。リニアインパクトを見据えた同市の対応や民間開発の現況をまとめた。
 名駅地区では超大型ビルが建設ラッシュを迎えている。三菱地所が旧大名古屋ビルヂングを建て替える「大名古屋ビルヂング」は5月に着工した。設計は三菱地所設計、施工は清水建設が担当している。規模は、S・SRC造地下4階地上34階建て塔屋1層延べ14万6698㎡。15年10月の竣工を目指している。
「(仮称)名駅1丁目計画


名古屋駅新ビル(仮称)
1カ月後の6月には日本郵便と名工建設が「(仮称)名駅1丁目計画」の建設工事に着手。設計は日本設計が担当。S一部SRC・RC造地下3階地上40階建て塔屋1層延べ17万9950㎡の規模を竹中工務店の施工で進めており、15年11月の竣工を予定している。
 また、2つの大型プロジェクトに先んじて東海旅客鉄道(JR東海)とJRセントラルビルが「名古屋駅新ビル(仮称)」を大成建設・鹿島JVの施工で12年10月に着工している。実施設計は大成建設・日建設計・ジェイアール東海コンサルタンツJVが担当。新ビルの規模は、S一部SRC造地下6階地上46階建て延べ26万5575㎡。15年末の竣工を目指している。
 東和不動産は「(仮称)新・第二豊田ビル」の開発計画を進めており、7月に現第二豊田ビル西館・東館の解体工事に着手した。解体工事の施工は竹中工務店が担当。建設工事の施工者は未定。設計は日建設計が担当した。施設規模は、S一部RC・SRC造地下4階地上25階建て塔屋2層延べ約4万9700㎡を計画。順調にいけば、14年春までに解体を終え、春から夏までに建設工事に着手し、16年末に竣工する見込み。開業は17年春を予定している。

◇名古屋市はPFIで名駅周辺地下空間を

 このほか、市は名駅笹島交差点から下広井町交差点先まで地下空間を整備する「名古屋駅周辺地下公共空間整備事業」をPFI方式で公告する予定。順調に推移すれば、13年度末に実施方針を公表、14年5、6月に特定事業へ選定。同年夏までに募集要項や要求水準書を公表し、14年度末に事業契約を結ぶ予定。17年度までに整備を完了する見込みだ。実施設計は中日本建設コンサルタント、PFIアドバイザリー業務は玉野総合コンサルタントが担当している。
 また、ノリタケカンパニーリミテドは、都市再生緊急整備地域となる本社工場の跡地開発プロジェクトを進めており、5月に優先交渉権者として三菱商事、イオンモール、三菱地所レジデンスを選定した。同プロジェクトは商業開発地区(約5万5800㎡)と、住宅開発地区(約1万8500㎡)を整備する計画で、竣工時期は商業施設が16年秋、住宅施設が18年春を予定している。

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