ことし3月に逝去した二川幸夫氏が聞き手を務め、実務者である建築家・磯崎新氏と研究者である鈴木博之氏の対談で進行する。立場の異なる両氏の考え、解釈がかみ合わない部分がスリリングさを増幅させ、刺激的だ。
元は、1999年11月に刊行されたGA JAPAN別冊『20世紀の現代建築を検証する○と×』。その改訂新版である。
▽新古典主義からモダニズムの誕生へ▽技術とその意味▽1つで歴史に残る家▽前衛か、体制か▽大戦前後▽南北米・欧、それぞれの展開▽最後の巨匠、そして日本--の7章に、「あとしまつ」として磯崎氏のインタビューを収録している。
20世紀が過ぎ、「現代の建築や都市を論じること」について磯崎氏は、「あとしまつ」の中で、「建築や都市を論じる前に、世界の資本主義、経済状況はどうなっているか、都市の開発をする政治システムはどうなっているかといった、つまりわれわれが排除してきた枠組みが表に出て来て、それを通さない限り何も言えない。だから、建物はどんどんできるけど、これは建築としてではなく、論じることさえ無理だというのが、ぼくなりに90年代半ばくらいから考えてきたこと」と語る。
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建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月6日
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