制震装置や高さ4m超の巨大エレベーター、水田のある屋上庭園など、六本木ヒルズ(東京都港区)の裏側を探検--。森ビルは、街づくりのミッションとしている「安全」「環境」「文化」をテーマに、快適な都市生活について考える、夏休みの親子向け教育プログラム「ヒルズ街育(まちいく)プロジェクト」をことしも開催、5種のツアーで計32回実施し、公募で選ばれた約1000人の参加者を受け入れる。
2007年に開始した同プロジェクト。特に、通常は非公開の各所を巡る「ヒミツ探検ダイジェストツアー」では、入社3年目の同社社員をツアーの“案内役"とすることで、「通常業務から一歩離れて街づくりの理念の全体を理解、説明する経験や参加者と密に接することで生の声を聞く場を得られる」(同社)メリットがあり、社員教育の一環としても注力している。
20日のみ行われた「建物の安全のヒミツ探検ツアー」には、小学校高学年の児童を含む親子約40人が参加。まず、実際に紙で作った建物をそれぞれ高層、低層ビルに見立てて揺らし、揺れ具合を比較しながら、地震の揺れが建物により変わることや、筋交いを入れることで揺れが止まること、建物に合わせた対策をとることの大切さを体験した。
その後“探検"にくり出し、粘性系ダンパー356基、鋼材系ダンパー192基という2種の制震装置を有する森タワーを中心に、高層ビルの“安全のヒミツ"に迫った。従来は地震で不利とされていた、総重量3650tに及ぶ庭園の大重量を逆に制揺要素として生かし、屋上緑化と耐震性向上を両立させている先進の制振構造「グリーンマスダンパー」の説明では、表側からでは分からない隠れた工夫に驚きの声が上がった。
参加した子どもたちからは「すごい装置を見ることができてよかった」という声が多く上がり、同社社員は「日本は地震が多い国だが、建物を安全に建てるための技術は他の国が見習いたいほど発達していることを覚えていてほしい」と力を込めて説明していた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月21日
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