2013/08/26

【くまもとアートポリス】共同建築設計+コンテンポラリーズに 高野病院新病院設計

最終案の模型
熊本県が、くまもとアートポリス(KAP)事業の一環で実施した高野病院新病院設計業務公募型プロポーザルは、公開プレゼンテーションで最優秀者に共同建築設計事務所+コンテンポラリーズが選ばれた。審査員長を務めた伊東豊雄KAPコミッショナーは、「短期間にもかかわらず、4者ともすばらしい提案だった」と感謝した上で、最優秀者が何らかの都合で設計者とならなかった場合は「もう一度、審査員会を開くつもりで次点を選ばなかった」と、伯仲した審査の様子を説明した。

 1次審査を通過したのは共同建築設計事務所+コンテンポラリーズ、内藤建築事務所、岡田新一設計事務所、久米設計・シーラカンスK&H設計共同企業体の4者。最優秀以外の3者を佳作とした。
 最優秀の共同事務所は4層の病院を提案。高野病院が当初想定した7階建てに比べて階数は低いが、「1層の階高を高くし、上下への増築に対応できるなど可能性の高さを感じさせる。また、構造の考え方や4人部屋を個室に近い形で提案している点が優れている」(伊東氏)と評価した。
 ただ、1フロアに3つの病棟を集約することに病院側から疑問が示され、同病院の山田一隆院長から「4階建てにこだわらず、原則7階建てとした意味を検討の材料としてほしい。また、1フロア2病棟の考え方、内視鏡センターからの搬送システムなど病院内の誘導システムのあり方を再検討してほしい」と、設計を進める上で3つの条件が出された。
 このほかの3案について伊東氏は、「日常的に入りやすく建築的に居心地のいい病院。ナースステーションとエレベーターの関係など病院側からの課題が指摘された」(久米設計共同体)、「8階建てで眺望がよく、各階のプランもシンプルにまとまっている。全体像のつくられ方に魅力が乏しい」(岡田新一設計事務所)、「7階建ての提案で病院の考え方と一致している。ねじれた構造を採用した効果がどれくらいあるのか。個室のつくり方など内部プランにもう一つ提案がほしかった」(内藤建築事務所)とそれぞれ評価した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月26日



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