2013/08/09

【橋梁】長大吊橋も大改修時代に! 供用から40年の関門橋を大規模補修

西日本高速道路九州支社は、供用開始からことしで40年を迎える関門橋の大規模な補修工事を進めている。補剛桁や道路床版、ケーブルなどを対象にした大規模補修工事は今回が初めて。今後、補修時期を迎える国内の長大橋の先例として注目を集めている。
 九州と本州を結ぶ関門橋は、関門海峡の早鞆の瀬戸に架設された吊橋で、3径間2ヒンジ補剛桁として、中央径間長712m、側径間長178mで全長は1068m、6車線で路面幅は26mとなっている。1973年11月に供用を開始し、瀬戸内海の布刈瀬戸に架かる因島大橋が完成する83年までは国内最長の吊橋だった。
 その関門橋もことしで建設後40年を迎え、1日平均約3万台を超える交通量や車両の大型化などにより、路面舗装や舗装下のRC製床版の劣化が進行している。
 これまでにも同支社は、定期的な点検や、3回の塗替塗装、全線を対象にした舗装補修工事などを行ってきたが、長寿命化に向けて抜本的な補修が必要として、2011年度に事業に着手。事業費は15年度までの5年で約80億円を見込む。事業完了は19年度を予定している。
 補剛桁と主塔では、塗替塗装、補剛材補修と支承交換、ボルト交換などを進める。支承は1方向しか動かない既存支承を取り除き、橋軸直角方向への滑動機能をもったBP-B支承に取り替える。
 路面では、床版補修と舗装打ち換えを行う。ことし8月から11月にかけて3回、劣化が著しい橋台上面と下面のコンクリート床版の補修を交通規制しながら進める。
 ケーブルは、解放調査の結果、内層ケーブルが常時90%以上の湿度状態にあり、赤さびなどが発生していることが分かっている。内層ケーブルは補修ができないため、湿度を一定に保つ方法など防錆対策を今後検討する。
 補修工事に当たっては、有識者による関門橋大規模補修検討会(委員長・日野伸一九州大大学院教授)が工事内容などを検討している。日野教授は「100年以上にわたって橋を守っていかなければならない。そのためにも早めの予防対策が必要だ」と述べ、今回の補修工事の意義を訴えている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年8月9日

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