震災20年の節目となった今回は、神戸市中央区の兵庫県公館と、神戸東部新都心(HAT神戸)の二元会場で開かれ、正午の合図とともに参列者全員で黙とうをささげた。
献花される天皇・皇后両陛下 |
また、政府代表として山谷防災担当相も「今後も高齢被災者の生活支援や地域の活性化などに必要な取り組みを進めるとともに、震災の経験をしっかり継承し、国民が安心して暮らせる社会の実現に全力を挙げる」と追悼の辞を述べた。
兵庫県公館での式典 |
最後に会場の参加者らが次々と花をささげた。
神戸市中央区の東遊園地では神戸市主催の追悼式典も開かれ、10万人超の参加者が鎮魂の祈りを込めた1万本の竹灯籠に灯りをともした。
■子孫に誇れる日本に…定員上回る480人参加 近畿地整らシンポ
近畿地方整備局と気象庁大阪管区気象台は17日、阪神・淡路大震災20年シンポジウム「南海トラフ巨大地震に備える~命を守るヒントを学ぶ~」を大阪市北区のグランフロント大阪で開いた。第1部はゲストトーク、第2部は基調講演とパネルディスカッションを行った。定員の400人を大幅に上回る480人の参加者が会場を埋めた。
冒頭、近畿地方整備局の森昌文局長は「われわれは阪神・淡路大震災から多くのことを学び、その後、一生懸命に実践してきた。橋や建物の耐震性能を見直し、補強を進めてきた。一方で、土砂災害や火山の噴火、集中豪雨など自然災害が頻発しており、国民全員でその手だてを実施することが必要だ。将来の子孫に誇れる日本にしていこう」と呼び掛けた。
続いて、気象庁の上垣内修大阪管区気象台長は「(今回のシンポジウムを通じて)防災対策全体に視野を広げ、命を守るには何が必要かを考えていきたい」とあいさつした。
第1部の阪神・淡路大震災20年トークは、「命を守るインフラの整備・あの大震災が私の原点」をテーマに、大震災をきっかけに建設業を選んだ小西慶子さん(山口建設)と柏原宏輔さん(大林組)が話をした=写真。宝塚歌劇団から大震災をきっかけに建設業に進んだ小西さんは「建設業の人たちが復旧復興にひたむきに取り組んでいる姿が心に響き、生活の基盤になる仕事にかかわりたいと強く思った」と振り返った。
柏原さんは、震災当時は兵庫県姫路市に住む中学生だった。「身近でこんな惨事が起きるとは想像できなかった。全員の力でひとつのものを作り上げることに魅力を感じ、ゼネコンを選んだ」と話した。紀伊半島大水害でも復旧工事に携わり、「人とのつながりを通じて自分の成長を実感する」と仕事の魅力を語った。また、柏原さんは「人々の社会基盤をつくるのが土木の使命。災害復旧では特に土木の重要性を感じる。全員でひとつのものをつくることが好きならば、ぜひ建設業に進んでほしい」と参加者に求めた。
第2部は巨大地震や津波から「命を守るヒントを学ぶ」がテーマ。最初に関西大学社会安全学部の高橋智幸教授が「南海トラフ巨大地震に備える」を題材に基調講演した。高橋教授は「津波防災の主役は避難だが、高い防災意識を基準にした避難計画は危険だ」と指摘した。その上で「高い防災意識の維持とともに、避難を助けてくれるハードの整備の両方が必要。津波に強いまちづくりにはソフトとハードの連携が欠かせない」と訴えた。
最後に高橋教授をコーディネーターに、松山大学文学部の森岡千穂准教授、三菱地所プロパティマネジメントの森本正治大阪支店長、大阪地下街の井下泰具理事、関西大学社会安全学部の近藤誠司助教、近畿地方整備局の小俣篤企画部長の5人がパネリストを務め、パネルディスカッションを行った。
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