2011/10/24

前川國男設計の京都会館/保存改修を著名建築家ら申し入れ

 わが国近代建築の父と言われた前川國男が設計し、日本のモダニズム建築を代表する作品として知られる京都会館の再整備事業をめぐり、著名建築家らで構成する「京都会館を大切にする会」(代表・吉村篤一元奈良女子大教授)は25日、建築的価値を尊重した保存改修を求める要望書を門川大作京都市長に提出する。
 同会館の第1ホールを建て替える市の計画に対し、「中庭と第1ホールを中心とした伸びやかな内外の空間構成」など、建築的価値の尊重を前提とした保存改修や、景観への配慮を求める。さらに、基本設計、実施設計、施工の各段階で意見を反映する時間を十分に設け、専門家による中立的な委員会が全体監修することを要望する。
 呼び掛け人は吉村氏のほか、京都工芸繊維大教授の松隈洋教授、東大名誉教授でDOCOMOMO Japan代表を務める鈴木博之氏、建築家の山崎泰孝氏や若林広幸氏ら10人。
 賛同人として、日本建築家協会(JIA)の芦原太郎会長や、建築家の新居千秋氏、遠藤秀平氏、内藤廣氏、藤森照信氏、坂倉竹之助氏、槇文彦氏、吉羽逸郎氏ら著名建築家や文化人など77人が名を連らねている。
 芦原氏は「環境や文化の継承を担う、建築の価値を大切にしてください」とメッセージを寄せている。
 同会館は、1960年に完成し、日本建築学会賞、BCS(建築業協会)賞など数々の賞を受賞した前川國男の代表作品の一つ。近代建築の保存活動などを展開しているDOCOMOMO Japanが「日本のモダニズム100選」に選出したほか、日本建築学会も3月に保存要望書を市に提出している。

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