2011/10/06

「議場は天守閣」槇事務所が最優秀に/長野市第一庁舎・市民会館基本設計

最優秀案
 長野市第一庁舎と長野市民会館建設の基本設計公募型プロポーザルは、資格要件なし、代表企業枠と市内企業枠の設定など独自の工夫が凝らされた。今回、代表企業として槇総合計画事務所が最優秀者に特定された。
 プロポーザルでは、技術提案書を出した29者から、槇総合計画事務所、日本設計、環境デザイン研究所、新居千秋都市建築設計、佐藤光彦建築設計事務所の5者が2次審査に進んだ。そして9月25日、JA長野県ビルのアクティーホールで公開プレゼンテーションとヒアリングが開かれた。
 槇事務所は、「大、中、小の各ホールや庁舎を多層的に配置し、広場や屋上などを緑化しながら徐々に上へと伸ばしていき、“緑のカスケード”をつくる。最上階の議場は緑の中に浮かぶようになり、庁舎を現代の長野城とすれば議場は天守閣になる」とプレゼンした。
 また「敷地に建築空間を与えると、ユーザー側は発注者や設計者が想定しなかったような新しい使い方を考えてくれる」「パフォーマーがホールではなく建物中央部の中庭でパフォーマンスしてもいい。与えられたプログラムと別の使い方を喚起する機能が、これからの公共施設が豊かさを増すために必要」ともアピール。
 設計者選定委員会の北川原温委員長は「庁舎と市民会館を複合化する難しいプログラムに対し、各者が非常にレベルの高い提案を出してくれた。提案の背景にある深いスタディーや見識をいかに読むかが審査で重要な点だった」と振り返った。次点は環境デザイン研究所に決まった。
 施設は地下1階地上8階建てで全体免震を採用する。地下1階は中央のサンクンガーデンを囲むように制作室、スタジオ、音楽室、リハーサル室など市民の創造支援機能を集約。地上1階は大ホールや市民交流プラザを配置し、2階は中・小ホールや庁舎ワンストップロビーなどを設置する。3階に市民窓口エリア、4-6階に庁舎執務エリア、7階に議会機能、8階に議場を整備する。
 第一庁舎の規模は1万2000-1万6000㎡、市民会館は約1万1500㎡を想定している。
 今後、槇総合計画事務所が、「市内企業枠」に応募した企業から聞き取り調査をしてJVを組み、基本設計を開始する。市は今年度に基本設計を完了させた上で、2012年度に実施設計と施工者選定を実施。13、14年度の建設工事、15年度の供用開始を予定している。建設地は、同市大字鶴賀緑町1647の現市民会館跡地。

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