日本原子力研究開発機構は、福島第一原発事故による除染方法を民間から公募する。警戒、計画的避難区域などに指定されている福島県内の12市町村を対象に、効果的な除染モデルを募集し、森林、農地、宅地、大型建造物・建物、道路の5項目を象に、汚染度合い別の除染計画を立案する。作業員の放射線防護や除去物の保管・処理計画も定める。
公募は、モデル実証事業の実施者を選定して、2012年3月2日までに評価・報告を完了させる。予算上限は、1自治体当たり6億円程度を見込む。
除染モデル実証事業は、内閣府からの委託。応募資格は国内の企業または共同企業体で、過去10年以内に放射性物質で汚染された地域の環境修復業務などの実績があれば、申請書類に明記を求める。選考審査では、今後の福島県内での技術活用、作業促進を見据え、県内企業や地元技術者の参画も考慮する。
応募に当たっては、手順・方法から除去率、除去物発生量などを網羅した除染計画の提案を募る。現場作業期間は1カ月程度とし、その工程表も提示させる。また、モニタリング計画や放射線・安全管理計画のほか、除去物の移動や保管、発火対策を含む処理計画も求める。
対象エリアは南相馬市、川俣町、浪江町、飯舘村を「A」、田村市、双葉町、富岡町、葛尾村を「B」、広野町、大熊町、楢葉町、川内村を「C」と、3グループに分ける。汚染レベルは年間100mmシーベルト以上の「高汚染地域」、20mmシーベルト以上100mmシーベルト未満の「中汚染地域」、5mmシーベルト以上20mmシーベル未満の「低汚染地域」に3分類する。
汚染レベルの高低に応じた対象物ごとの除染方法などを盛り込んだ提案書類は、21日まで産学連携推進部研究協力課で受け付ける。書類と口頭で審査し、11月上旬に上位3者を選ぶ。この3者がA-Cのいずれか1グループを担当することとし、希望が重複した場合は評価が高い企業を優先する。
除染方法は汎用性のあるものを基本としながら、それらの改善点に加え、新規の工夫も評価する。建物や道路では、表面の削り取りや再舗装などを想定。宅地では居住性の確保、農地では持続的な利用に資する提案などに期待を掛ける。
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