2011/10/14

原子力機構が除染方法を公募/福島警戒・避難区域12市町村

 日本原子力研究開発機構は、福島第一原発事故による除染方法を民間から公募する。警戒、計画的避難区域などに指定されている福島県内の12市町村を対象に、効果的な除染モデルを募集し、森林、農地、宅地、大型建造物・建物、道路の5項目を象に、汚染度合い別の除染計画を立案する。作業員の放射線防護や除去物の保管・処理計画も定める。
 公募は、モデル実証事業の実施者を選定して、2012年3月2日までに評価・報告を完了させる。予算上限は、1自治体当たり6億円程度を見込む。
 除染モデル実証事業は、内閣府からの委託。応募資格は国内の企業または共同企業体で、過去10年以内に放射性物質で汚染された地域の環境修復業務などの実績があれば、申請書類に明記を求める。選考審査では、今後の福島県内での技術活用、作業促進を見据え、県内企業や地元技術者の参画も考慮する。
 応募に当たっては、手順・方法から除去率、除去物発生量などを網羅した除染計画の提案を募る。現場作業期間は1カ月程度とし、その工程表も提示させる。また、モニタリング計画や放射線・安全管理計画のほか、除去物の移動や保管、発火対策を含む処理計画も求める。
 対象エリアは南相馬市、川俣町、浪江町、飯舘村を「A」、田村市、双葉町、富岡町、葛尾村を「B」、広野町、大熊町、楢葉町、川内村を「C」と、3グループに分ける。汚染レベルは年間100mmシーベルト以上の「高汚染地域」、20mmシーベルト以上100mmシーベルト未満の「中汚染地域」、5mmシーベルト以上20mmシーベル未満の「低汚染地域」に3分類する。
 汚染レベルの高低に応じた対象物ごとの除染方法などを盛り込んだ提案書類は、21日まで産学連携推進部研究協力課で受け付ける。書類と口頭で審査し、11月上旬に上位3者を選ぶ。この3者がA-Cのいずれか1グループを担当することとし、希望が重複した場合は評価が高い企業を優先する。
 除染方法は汎用性のあるものを基本としながら、それらの改善点に加え、新規の工夫も評価する。建物や道路では、表面の削り取りや再舗装などを想定。宅地では居住性の確保、農地では持続的な利用に資する提案などに期待を掛ける。

Related Posts:

  • 【復興特別版】世界に通用する究極のお土産は!? 東北から112食品が1次審査通過 復興庁が官民共同で「新しい東北」の挑戦を伝えるPR事業の一環として実施している「世界にも通用する究極のお土産-『新しい東北の挑戦』-」に、東北6県から496商品の応募があり、この中から112商品が1次審査を通過した。9月14日に東京都千代田区の都市センターホテルで開く最終審査で「究極のお土産」10品を選定する。  大手百貨店やコンビニエンスストア、ネットモールなど複数の流通企業と共同で実施しているもので、震災により市場と販路の多くを失った事… Read More
  • 【津波対策】ソフトを突き詰めればハードが重要 黒潮町の取り組み 黒潮町役場(photo:Bakkai) 南海トラフの巨大地震で、国内最大となる津波高34mが想定されている高知県黒潮町。絶望的ともいえる津波高さを内閣府から2年前に示され、町民は不安と混乱、あきらめを経験したが、大西勝也町長は、「災害と向き合うことはより良い人生を実現することだ」と指摘する。土木学会が3日に東京・虎ノ門で開いた震災から3年のシンポジウムで、町と住民の取り組みを紹介した。  町の対応は、「細分化」「推進体制」「コミュニケー… Read More
  • 【海岸防災林】人を守り癒す「緑の防潮堤」 岩沼市で実証実験スタート 樹種や造成方法を変えた4パターンを比較検証 震災の大津波によって壊滅的な被害を受けた太平洋沿岸の海岸防災林。その再生や機能強化に必要な科学的知見を集めるため、林野庁は植栽の樹種や方法に関する実証試験をスタートさせる。宮城県岩沼市で25日、「強く豊かな海岸防災林」の再生植樹式を開く。樹種や造成方法を変えた4パターンを試し、海岸防災林としての効果やコストなどを比較検証していく。  海岸防災林は、飛砂害や風害から人家や農地を守り、津波発生時には… Read More
  • 【仙台市営地下鉄】東西線がついに開通!! 震災復興のまちづくり進む荒井駅でも出発式  仙台市が、2007年2月の着工から約9年の歳月をかけて整備してきた市営地下鉄東西線が6日、震災で事業が一時中断するなどの苦難を乗り越え、待望の開業を迎えた。八木山動物公園駅を起点に、市街地中心部を通り、被災した市沿岸部周辺の荒井駅まで計13駅を延長13.9㎞の横軸で結ぶ。これにより、既設の南北線と一体となって十文字の軌道系交通網を形成。市民生活の利便性向上や沿線開発の促進などに期待がかかる。開業に先立ち5日には、青葉区の仙台国際セン… Read More
  • 【仙台うみの杜水族館】世界に誇る新たな観光スポット! 復興のシンボルがオープン 三井物産や横浜八景島、ユアテックなどの6社が共同出資して設立したSPC(特別目的会社)の仙台水族館開発(青野良則社長)が、東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台市宮城野区中野に建設を進めていた「仙台うみの杜水族館」が1日にオープンした。この日を待ちわびた多くの市民が訪れ、復興のシンボルとなる新たな海洋観光施設を満喫した。  設計は大建設計、施工は大成建設・橋本店JVが担当した。  規模はS一部RC造2階建て塔屋1層延べ9988㎡。三陸の豊かな… Read More

0 コメント :

コメントを投稿