2011/10/12

美術館の常識を覆す光あふれる展示室/西沢立衛氏設計の「軽井沢千住博美術館」がオープン

 軽井沢の自然の中を歩くように、太陽の光が降り注ぎ、土地の記憶を残す傾斜した床--。およそ1500㎡の平屋の大空間を創出した新しい美術館「軽井沢千住博美術館」が10日にオープンした=写真。日本画家、千住博さんの作品を集めた美術館で、設計は、建築家の西沢立衛氏。作品への影響から自然光は避けるのが美術館の常道だが、千住氏の要望で、ガラスの壁とガラスに囲まれた中庭を使うことで、美術館の常識を覆す光あふれる展示空間が広がっている。
 千住氏は日刊建設通信新聞社の取材に「光の問題で紆余曲折はあったが、西沢さんという前衛的で実力のある建築家によって、思い描いた空間を200%も300%も実現できたと思っている。自然と人間とアートが共存する21世紀のモデルケースをつくりたい」と話す。
 西沢氏は「ようやく完成して、ほっとしている。千住さんの作品と軽井沢の環境、美しい自然を同時に感じられるような建築、人々が自然にくつろげるような空間を目指した」と話してくれた。
 入口を入ると緩やかに床が下っていき、大空間の先には大きな円形のガラスに囲まれた中庭が4つ設置され、中に地元の木々などが生い茂る。開館記念展では、千住氏の代表作「ウォーターフォール」を中心に展示している。
 所在地は長野県軽井沢町塩沢815。施工を清水建設・笹沢建設JVが担当した。運営は国際文化カレッジ。入場料は一般1200円。

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