東日本大震災の被災者向けに、アフリカ西側の大西洋浮かぶ「カーボベルデ共和国」に日本人村を建設するという構想が持ち上がっている。提案者は、イタリアの空港建設コンサルタント、ハンス・フィッシャー氏。過去にカーボベルデ共和国の国際空港建設に参画した経験を生かし、同国に日本人村の建設を働き掛けようと、建築家の山下和正氏と東京工業大学の奥山信一准教授に声を掛けた。
山下氏は「ニーズは不明だが、被災者自らが人生を再構築する選択肢の一つとして、このような提案があってもいい」と話す。
フィッシャー氏と山下氏の出会いは、40年以上前にさかのぼる。当時、山下氏がロンドン市役所に勤めていた時、あるプロジェクトを通じて意気投合した。故郷も仕事も失った大震災の被災者を支援したいと思うフィッシャー氏の気持ちは強く、かねてからの友人である山下氏に協力を求め、賛同した奥山氏が技術協力を申し出た。
山下氏は「現地復興を最優先で進めるべきだが、故郷も仕事も失った被災者の中には、まったく新しい生活を求めている人もいるはずだ。日本の漁業技術や文化を輸出すれば、現地の経済発展にも貢献できる」と実現へ意欲を語る。
現地政府との調整が進めば、将来的にODA案件として計画をまとめる考えも示しているが、現状は難しい。そもそも日本は途上国への援助が主であり、途上国からの援助は受けていないためだ。
ただ、山下氏は「このような動きが大切。今後も情報発信に努めたい」と話す。
カーボベルデ共和国は西アフリカの沖合い約500㌔に位置する。大小15の島々で構成され、総面積は4,033平方㌔。1975年7月にポルトガルから独立した。人口は51万人。日本のような海溝型地震による災害の可能性は低い。
観光産業が盛んで、分散する各島のリゾート開発も進み、年間を通じてヨーロッパから多くの観光客が訪れる。2007年にはエネルギー資源を持たない国として初めて、後発開発途上国の指定を解除されている。
構想では、国際空港が立地するサル島を計画地として選定し、2パターンの日本人村を計画。プランAは宿泊業や農畜産業を営む居住地、プランBは水産加工など自立型漁業中心の居住地を提案している。
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