2011/10/26

最優秀に青木淳建築計画事務所/広島・三次市民ホールプロポーザル


 広島県三次市が実施した(仮称)市民ホール建設設計業務の公募型プロポーザルで最優秀提案に特定された、青木淳建築計画事務所の提案概要と審査講評が明らかになった。
 青木事務所は、「市民がにぎわう、市民が主役の、文化の街角“小さな街”」「“表”と“裏”の区分けを流動的にする、基本骨格としての回廊」をテーマに提案を作成した。
 空間的なアプローチとして、「いつ行っても、いろんな場所でいろんなことが行われていて、それに参加したくなる空間。いつでも音楽や演劇を中心としたさまざまな活動が繰り広げられる。市民それぞれがもっている“文化”がここで引き出され、育てられ、伝えられる。施設というより小さな街のような空間。いろんな人の出会える、そんな仕掛けがいっぱいつまった空間」を提案した。
 また、「表と裏の区分けが流動的であることが大切。表裏、それぞれのサイズや個性が異なるさまざまな空間を用意し、まずはそれらを巡ることができるような回廊」を基本骨格に据えた。
 この青木事務所の案に対して講評は「基本コンセプトをわかりやすく説明した」と評価、さらに「施設の基準平面を地盤から5m上げて災害時に対応する防災の姿勢が明快に示されている」とも評価した。
 回廊については「さまざまな機能が固定的かつ流動的に利用でき、施設を最大限に有効活用することが目指されている」、「演じる側と享受する側の空間の流動性を高め、一体化させる市民文化のあり方」などにも言及した。
 また、「三次市の伝統的な芸術・文化をもとにした将来の発展への視点が示されており、子どもたちを含めて市民と共同で新しい文化施設を造り込んでいく、市民参加型まちづくりにも合致している」と締めくくった。
 同ホールは、三次町131-1地先(願万地地区)の敷地約1.4haに建設する。基本計画では、プロのツアー公演なども視野に入れ、1000席規模のホールをメーンとする延べ6000㎡程度の規模を想定している。事業費は概算で35億円程度を見込む。
 プロポーザルでは、全国から66事務所が参加表明し、提案書を提出した36者のうち35者が選考の対象となった。1次審査で5者に絞り込み、16日に開かれた公開ヒアリング、選定委員会(委員長・杉本俊多広大大学院工学研究院教授)による2次審査で特定した。

Related Posts:

  • 【耐震改修優秀賞】鎌倉市の「湯浅物産館」が受賞 特徴的な外観残し耐震性を確保  神奈川県鎌倉市の景観重要建築物等「湯浅物産館」が日本建築防災協会主催の第5回耐震改修優秀建築・貢献者表彰「耐震改修優秀建築賞」を受賞したことに伴い、10日に同館(雪ノ下1-0-27)で祝賀会を開いた。建物所有者や設計者、施工者を始め、同市職員など多くの関係者が集まり、受賞を祝うとともに鎌倉の伝統と文化を守る取り組みの推進を誓った。  冒頭、建物を所有する湯浅物産の湯浅弘邦代表者は、2月16日に開かれた表彰式で東京タワーや新宿三井ビルディ… Read More
  • 【銀座線デザインコン】駅デザイン部門6作品を公開プレゼン! 結果発表は4/11  東京地下鉄は10日、東京都港区のスペースFS汐留で「東京メトロ銀座線ビジネスエリア駅デザインコンペ」駅デザイン部門の公開プレゼンテーションを開いた。1次審査を通過した6作品の応募者がそれぞれのコンセプトを説明した。銀座線開業90年に向けた全駅のリニューアルを進めるため、新橋、溜池山王、赤坂見附のビジネスエリア3駅を対象とした「駅デザイン部門」と、新橋駅「幻のホーム活用アイデア部門」の2部門でコンペを実施している。プレゼンテーション審査の… Read More
  • 【福島県須賀川市】“特撮の神様”円谷英二氏の出身地に「特撮センター」整備構想!   福島県須賀川市は、2016年度当初予算案に特撮センター整備事業実施設計業務委託費2420万円を計上した。議決されれば今秋に発注手続きを開始する方針だ。写真は円谷英二氏が特技監督を務めた『ゴジラの逆襲』ポスター(東宝株式会社、1955)。  同市は、ウルトラマンなどを手掛けた“特撮の神様”と呼ばれる円谷英二監督の出身地。円谷氏の功績をたたえるまちおこしの一環として、“特撮”文化を生かした文化振興を図っていく。 同市柱田にある岩瀬農村環境改… Read More
  • 【千葉県建築文化賞】最優秀賞は一般の部「京葉銀行千葉みなと本部」、住宅の部「鴨川の家」  千葉県県土整備部は9日、第22回(2015年度)千葉県建築文化賞の受賞作品を発表した。最優秀賞は一般建築物の部に「京葉銀行千葉みなと本部」=写真、住宅の部に「鴨川の家」を選定した。優秀賞は一般建築物の部が「勝浦市芸術文化交流センター(キュステ)」「The University DINING」「流山市立おおたかの森小・中学校、流山市おおたかの森センター、流山市立おおたかの森こども図書館」、住宅の部が「ちはら台の家」の4点。このほか一般建築… Read More
  • 【現場最前線】徹底的にこだわった文化財を守る躯体づくり キトラ古墳壁画体験館新築工事  奈良県明日香村で鉄建が施工していた「キトラ古墳周辺地区体験学習館新築工事」が完成した。展示する文化財を守るため、防水性の確保を始めとした強固な躯体づくりに徹底的にこだわり、土木的要素も含めた多様な工法と工夫を組み合わせることで、古代の文化を後世に伝える高品質な施設を完成させた。キトラ古墳周辺地区の中核施設は、今秋のオープンを予定している。写真は奥が本館、地下構造の別館が手前にある。  体験学習館は、古代飛鳥の技術や文化について、見て、聞… Read More

0 コメント :

コメントを投稿