2012/02/17

記者座談会・第3四半期 ゼネコンは利益に不安材

A 主要ゼネコンの第3四半期決算が出そろったね。
B 東日本大震災の復旧・復興関連工事の影響もあって、全体的に受注は上向いている。単体受注高は25社中、16社が前年同期実績を上回った。ただ、全体の水準としては高いとは言えない。大きく落ち込んだ昨年からの反動という見方もできる。
C 大手4社に比べると、準大手の受注が意外と伸び悩んだように見える。大手4社の受注は合計で前年同期比15.1%増。一方、準大手クラス22社は全体で3.1%増にとどまっている。大手4社は、10月から12月の3カ月間で3割近く受注を伸ばしているなど、巻き返しの構図がはっきりと見てとれる。
D 先の中間決算では、東日本大震災の復旧・復興関連工事の受注について具体的な数字を出すところも多かった。しかし、今回の第3四半期決算では各社とも口が堅かった印象だ。
C 各社とも、純粋な工事以外の業務も受注している。復旧・復興の内容が多岐にわたっていることも影響しているのかもしれない。
A 受注も重要な先行指標だが、今後の利益面も気になる。
B 労務費上昇などの懸念材料は依然として払しょくできそうにない。今後しばらくは予断を許さない状況が続きそうだ。
A 道路舗装会社の決算はどうだったの?
D 各社とも建設事業を主体に受注が伸びた。東日本大震災に関連して高速道路会社が大型の災害復旧工事を発注したことなどが寄与した。一方で民間工事は厳しい状況が続いているようだけど、製造販売事業は安定している。大手は全社とも受注が前年同期を上回っており、通期業績予想に対する進捗率も例年にない高水準となっている。
C 利益を見ても、おおむね明るい決算が多かった。特にNIPPOと前田道路の最大手2社は、営業利益が前年同期を6割以上も上回るなど底力を見せた。両社は決算発表に合わせて通期予想に対して大幅な上方修正も公表している。少なくとも2012年3月期決算は好業績が相次ぎそうだ。
A 設備はどうだったろう。
E 空調大手は、6社すべて受注高が前年同期を上回った上、うち4社は2桁伸びた。産業空調が好調だったようだが、増収、増益とも3社にとどまったことからも前年同期の落ち込みぶりがうかがえる。
A 空調大手がそうだったように、おしなべて受注は好調だったと言えるのかな。
E あまり喜ばしい例えではないが、やはり震災の復旧が後押ししたと言う企業もある。ただ、空調大手6社に限って言えば、今第3四半期で業績予想を見直したのは3社に過ぎない。売り上げ、利益の下方修正、受注、利益の上方修正とまだら模様だ。工事損失引当金が増えている会社があるように、将来にわたる新築案件とはいえ、ここのところの受注環境は厳しい。「予想」と言っても、通期の業績、特に受注はまだまだ先行きが見えない企業も多いようだ。
A エンジニアリング大手3社は。
F 人口増加や新興国の経済成長を背景に、世界的なエネルギー需要がおう盛なことから、受注高を伸ばしている。第3四半期までの受注高は、日揮が通期目標に対する達成率39.6%、千代田化工建設も27.6%にとどまったが、ことしの1月にオーストラリアのLNGプラント建設を受注したことで、日揮はすでに通期目標を達成し、6800億円程度、千代田化も約5000億円で目標達成は近い。東洋エンジニアリングは57.9%。第4四半期に多くの受注が見込まれ、目標達成が見えている。通期の純利益は3社とも前期を上回る見通しだ。



『建設人ハンドブック2012年版-建築・土木界の時事解説』 日刊建設通信新聞社

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