2012/03/02

記者座談会・2012年度予算案で災害復旧費が一般会計を押し上げる

女川で倒壊したビル
A 47都道府県と20政令市の2012年度予算案が出そろった。前年度と比べて全体では一般会計の予算規模が増加したけど、東日本大震災の復興関連経費が増加の要因かな
B そうだね。甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県と仙台市だけで復興関連経費を約2兆3000億円計上したのが全体を押し上げる結果となった。やはり、東日本大震災が与えた影響は大きく、被災地以外の自治体でも地震や津波などの災害対策に力点を置いた予算編成となっている。

C 震災以外にも、昨年は集中豪雨や台風なども全国各地で頻発したこともあって、おしなべて災害復旧費の大幅な伸びが目立った。
A 復興庁が発足したけど、自治体への予算面の支援など、復旧・復興事業に対する役割はどうなるのか。
C 平野達男復興相は、省庁間の連絡・調整と自治体の相談窓口ということを強調し、実際に制度を作ったり実施したりするのは担当各省になると言っていた。自治体の相談相手になって、省庁の間に立つということだね。予算の個所付けもすると言っているけど、少なくとも直轄事業の個所付けは各省がせざるを得ないし、補助事業も執行する各省を無視して個所付けはできないだろう。
B 自治体からの要望を受けて特定の事業への予算配分を決めることはあるかもしれないけれど、工事や事業で復興庁が強く関与してくることはあまり想定できない。でも、東日本大震災復興交付金については、自治体が作成する計画の審査もしているから、配分先の決定はある程度、権限の範ちゅうになると思う。

『大災害の経済学 (PHP新書)』 AmazonLink

Related Posts:

  • 【記者座談会】4月から「復興・創生期間」がスタート 期待される“ビルドバックベター” A 東日本大震災からきょうで5年を迎える。4月から「復興・創生期間」という新たなステージが始まる。B これからの5年は、まさに復興の総仕上げに位置付けられる5年間となる。いまだに仮設住宅に入居されている人がいるとはいえ、基幹的なインフラの復旧・復興は着実に進んでいると言える。(写真提供:環境省) C 石井啓一国土交通相も8日の閣議後会見で「この5年間に復興への確かな足取りが見られていると思っている」と語ったように、復興道路・復興支援道路は約… Read More
  • 【記者座談会】熊本地震・空調・水関係も被害多数 復旧作業に全国規模のネットワーク必要 A 熊本地震への対応は連日、紙面で紹介しているが、現地の様子はどうだろうか。B 今回の地震で驚かされたのは震度7の大きな地震が続けて発生したことだろう。ただでさえ地震に対する免疫の少ない九州地区で、これだけの規模の地震が立て続けに発生するのは、まさに未曽有(みぞう)の経験だ。 (写真は16日未明に発生したマグニチュード7.3の本震の影響で、国の重要文化財「桜門」と拝殿が全壊した阿蘇神社) C 14日夜の前震では被害が大きかったものの、まだ局… Read More
  • 【記者座談会】建設職人社会振興議連が「安全・健康確保推進法案」提出へ 業界の反応は? A 自民、公明両党で構成する議員連盟が、今国会に建設職人を対象にした法案を提出するようだが。 写真は自民、公明両党の国会議員280人が参加している議連の第7回総会で法案を決議、あいさつする二階会長(左)。 B 両党の国会議員280人が参加している日本建設職人社会振興議員連盟が、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案」の成立を、今国会で目指している。労災保険料を含む安全衛生経費の確保や一人親方問題に対処するよう、特別に手厚… Read More
  • 【記者座談会】16年3月期決算 各社好調キープも次期は減少予想 採算性の維持が鍵 A 大手・準大手ゼネコンの2016年3月期の業績は各社いずれも好調だった。B 労務費や資材価格に大きな変動がなく、落ち着いていたため国内建設工事の採算が大きく改善した。単体の完成工事総利益(工事粗利)率は、主要26社中25社が前期を上回り、うち10社が10%を超えた。 C 需要の増大を背景に、採算を度外視した低価格受注は影を潜め、利益重視の受注を徹底した結果が今回の好業績に結び付いている。特に建築の工事粗利率は3年前に平均3%台まで落ち込ん… Read More
  • 【記者座談会】東日本大震災からまもなく5年 災害時、復興後の建設業界のあり方考える時期に A 東日本大震災から来月で5年の節目を迎え、2016年度からは復興・創生期間がスタートする。まずは復興庁の役割から。※写真は市街地のかさ上げなど復興まちづくりが進む宮城県南三陸町 B 進捗管理がメーンとなる。着実に復興が進む宮城や岩手とは対照的に、福島の復興はまだまだこれからの段階だ。被災3県のそれぞれで異なる現状に、被災地と国、あるいは省庁間の調整といった“橋渡し役”としての機能が求められる。住宅再建やインフラの整備を進めるだけでなく… Read More

0 コメント :

コメントを投稿