2014/05/21

【土木学会賞】功績賞に山本卓朗元会長ら 新設の国際活動協力賞は4ヵ国5人受賞


ボスポラス海峡横断鉄道(技術賞Iグループ)
土木学会(橋本鋼太郎会長)は20日、2013年度土木学会賞の94件を発表した。土木工学の進歩や土木事業の発展などに貢献した会員に贈られ、最高の栄誉となる功績賞は、池淵周一河川財団研究フェロー・京大名誉教授、亀田弘行電力中央研究所名誉研究アドバイザー・京大名誉教授、楠田哲也九大東アジア環境研究機構特別顧問・名誉教授、佐伯浩寒地港湾技術研究センター顧問・北大名誉教授、坂本忠彦日本大ダム会議会長、龍岡文夫東大名誉教授、田邉忠顯社会基盤技術評価支援機構・中部専務理事・名大名誉教授、三浦尚東北大名誉教授、山本卓朗未来のまち・交通・鉄道を構造するプラットホーム会長(元土木学会長)の9人が選ばれた。


 今回新設した国際活動協力賞は、日本との交流・協力を通じ、土木工学の発展や社会資本整備に寄与した50歳以下の外国人が対象で、台湾、チリなど4カ国計5人が受賞した。
 表彰式は、6月13日に東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで開かれる14年度定時総会で行われる。
 土木学会は2013年度土木学会賞を発表した。功績賞を除く各賞は次のとおり(敬称略、所属は応募時点。田中賞作品部門は(1)企業者(2)設計者(3)施工者)。
 〈技術賞Iグループ〉
▽鹿児島3号新武岡トンネルの建設(軟質シラス地山にわが国最大級断面の地中分岐道路トンネルを施工)
=国土交通省九州地方整備局鹿児島国道事務所、安藤ハザマ・錢高特定建設工事共同企業体

▽ボスポラス海峡横断鉄道トンネルにおける大規模地下駅及び大断面トンネルの建設技術=大成建設▽小土被り・超近接併設施工を克服した扁平断面シールドによる道路トンネルの急速施工-さがみ縦貫川尻トンネル工事=国土交通省関東地方整備局相武国道事務所、大林組

▽平成25年台風18号における淀川水系の洪水調節(7ダム等の連携操作により壊滅的被害を回避)
=国土交通省近畿地方整備局、同淀川ダム統合管理事務所、同琵琶湖河川事務所、水資源機構関西支社、同日吉ダム管理所、同木津川ダム総合管理所、同琵琶湖開発総合管理所

▽青函トンネルの耐久性能の検証・評価による健全性の確立
=鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北海道新幹線建設局、北海道旅客鉄道

▽東北縦貫線建設工事-新幹線直上での鉄骨・PC桁・鋼桁架設、既設新幹線構造物の補強
=東日本旅客鉄道東京工事事務所、鹿島東京土木支店

 〈同IIグループ〉
▽福島県夏井地区海岸高潮対策事業-震災がれきの合理的活用による新しいタイプの海岸堤防の整備
=福島県

▽億首ダムの建設(台形CSGダム型式の採用と亜熱帯島嶼汽水域、米軍基地内など特殊条件下での施工)

=内閣府沖縄総合事務局北部ダム事務所

▽倉敷・波方国家石油ガス備蓄基地の建設-地下150mにわが国初の水封式LPG岩盤貯槽を建

=石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油ガス備蓄部、東電設計、鹿島、清水建設、大成建設、大林組

▽首都圏における広域的鉄道ネットワークの結実-東横線渋谷~代官山間地下化工事

=東京急行電鉄

▽津波により被災したJR気仙沼線・大船渡線のBRTによる仮復旧(被災地域の復興に貢献する地域交通サービスの提供)

=東日本旅客鉄道

 〈環境賞Iグループ〉
▽五ヶ瀬川水系の総合研究-河川環境の維持・管理・再生について=河川生態学術研究会五ヶ瀬川水系研究グループ
▽コンクリートがれきを有効利用したセメント硬化体の製造技術の開発=大成建設

 〈同IIグループ〉
▽木材チップ塩成土壌改良工法による東日本大震災塩害農地再生プロジェクト=大林組、東北大学
▽都市環境との調和に向けた「大橋“グリーン”ジャンクション」の整備・完成=首都高速道路、目黒区
▽トンネル発破により発生する低周波音を大幅に低減できる吸音ボックス「ブラストウェイブ・イーター(BWE)」の開発と実用化=清水建設▽アサリ成育場として継続的な活用を目指した人工干潟の整備=国土交通省中国地方整備局宇部港湾・空港整備事務所、周南市

 〈研究業績賞〉鉄筋コンクリート構造のせん断問題に関する総合的研究=二羽淳一郎

 〈論文賞〉
▽本震観測記録を利用した地震動推定手法の精度とその向上策-2008年岩手・宮城内陸地震における震源域を対象として=秦吉弥、中村晋、野津厚
▽2011年タイ洪水を対象にした緊急対応の降雨流出氾濫予測=佐山敬洋、建部祐哉、藤岡奨、牛山朋來、萬矢敦啓、田中茂信▽地盤パラメータ局所平均の空間的ばらつきと統計的推定誤差の簡易評価理論=本城勇介、大竹雄、加藤栄和
▽バルセロナの歴史的発展過程と歩行者の行動圏域を考慮した広場-街路のネットワーク分析=福山祥代、羽藤英二
▽水和収縮と細孔内水分の形態に立脚した収縮駆動モデルの再構築=石田哲也、Yao LUAN
▽公共事業における建設コンサルタント業務の調達方式に関する国際比較研究=木下誠也
▽水道におけるN-ニトロソアミン類とその前駆物質の実態調査=小坂浩司、廣瀬一人、浅見真理、秋葉道宏

 〈論文奨励賞〉
▽走行列車荷重を利用したRC鉄道高架橋の部材振動の同定と動的挙動の把握=松岡弘大
▽利根川河口区間における河床波の形成・発達・消滅過程と洪水中の河床波抵抗の評価=岡村誠司
▽タイヤチップおよびその砂との混合土の動的変形特性および地震応答特性=金子崇
▽旅行時間信頼性情報による高速道路利用者の行動変化の分析=日下部貴彦
▽コンクリート中の鉄筋の腐食生成物の違いがひび割れ発生腐食量に与える影響=高谷哲
▽公共事業の民間事業者からの発案に対するインセンティブ付与構造のモデル分析=廣瀬達也▽マニラ首都圏における台風Ketsanaによる洪水域内環境水からの病原性レプトスピラの検出=沼澤聡

 〈吉田賞研究業績部門〉
▽コンクリート構造物の高性能化と適用拡大化に関する研究=辻幸和
▽連続繊維補強コンクリート構造に関する研究=丸山久一

 〈同論文部門〉
▽セメント系材料により生成される水和物の相組成とASR膨張抑制効果の関係=川端雄一郎、山田一夫、松下博通

 〈吉田研究奨励賞〉
▽軸方向力が作用するRCはり部材のせん断耐力評価における可変角トラス理論の適用=三方康弘(大阪工業大学)
▽濃度の異なる炭酸化・塩分浸透促進試験における劣化メカニズム把握と新たなる促進試験の検討=伊代田岳史(芝浦工業大学)
▽地震時損傷を受けた鉄筋コンクリートの後来地震に対する耐震性能の評価=大矢陽介(港湾空港技術研究所)

 〈田中賞論文部門〉
▽矩形断面のギャロッピング不安定性と渦放出の関係について=八木知己(京都大学)、新庄皓平(大成建設)、成田周平(鹿島)、中瀬友之(中部電力)、白土博通(京都大学)
▽ビード進展き裂を有する鋼床版に対するSFRC舗装の対策効果に関する検討=村越潤(土木研究所)、小菅匠(新日本技研)、石井博典(横河ブリッジホールディングス)、春日井俊博(横河ブリッジホールディングス)、遠山直樹(本州四国連絡高速道路)、石澤俊希(新日本技研)
▽2011年東北地方太平洋沖地震における横浜ベイブリッジの応答=藤野陽三(東京大学)、Dionysius Manly Siringoringo(同)、並川 賢治(首都高速道路)、矢部正明(長大)

 〈同作品部門(新設)〉

▽仙台地下鉄東西線広瀬川地区橋梁(広瀬川橋りょうおよび西公園高架橋)=(1)仙台市交通局(2)ドーコン(3)ピーエス三菱・富士ピー・エス・東日本コンクリート共同企業体
▽寺迫ちょうちょ大橋=(1)西日本高速道路九州支社(2)西日本高速道路九州支社、三井住友建設、ドーユー大地(3)三井住友建設、植村組
▽各務原大橋=(1)各務原市(2)大日本コンサルタント、エムアンドエムデザイン事務所、日本構造橋梁研究所、イー・エー・ユー(3)清水・前田特定建設工事共同企業体、清水・市川・大雄・後藤工事特定建設工事共同企業体、大日本土木、日東工業、大林・市川・横建特定建設工事共同企業体、大日本・市川・後藤特定建設工事共同企業体、大日本・大雄特定建設工事共同企業体

 〈同作品部門(改築)〉
▽霞橋=(1)横浜市道路局建設部(2)オリエンタルコンサルタンツ(3)北日本機械、土志田建設、中鉢建設、日本鋳造
▽首都高速八重洲線汐留高架橋=(1)東京都建設局、首都高速道路(2)パシフィックコンサルタンツ(3)IHIインフラシステム、清水建設

 〈技術開発賞〉
▽レーザーによる非接触計測技術を用いたコンクリート剥離検査装置の開発=御崎哲一(西日本旅客鉄道)、島田義則(レーザー技術総合研究所)、オレグ・コチャエフ(レーザー技術総合研究所)、篠田昌弘(鉄道総合技術研究所、江本茂夫(ユニロック)
▽鋼棒と小型部材のみを用いた耐震補強工法(RB耐震補強工法)の開発=小林將志(東日本旅客鉄道)、津吉毅(同)、石橋忠良(ジェイアール東日本コンサルタンツ)、佐々木文雄(東京鐵鋼土木)、飯干福馬(高周波熱錬)
▽密閉型矩形シールド工法(パドル・シールド工法)の開発=金丸清人(清水建)、中谷武彦(同)、白井健太郎(同)、小高宏幸(カヤバシステムマシナリー)、齋藤祐二(合同資源産業)
▽性能向上とコスト縮減を両立した鋼管集成橋脚の開発=金治英貞(阪神高速道路)小坂崇(同)、篠原聖二(同)、杉浦邦征(京都大学)、野中哲也(耐震解析研究所)
▽トンネル発破低周波音消音器の開発=本田泰大(大林組)、渡辺充敏(同)、木梨秀雄(同)、松野徹(同)、荒川晃士(同)

 〈出版文化賞〉

▽水危機 ほんとうの話=沖大幹
▽Introduction to Finite Strain Theory for Continuum Elasto-Plasticity=橋口公一・山川優樹
▽東日本大震災の科学=佐竹健治、堀宗朗

 〈国際貢献〉
▽池田甫(日本工営顧問)▽國田治(国際臨海開発研究センター調査役)
▽坂本忠彦(日本大ダム会議会長、日本工営顧問)
▽AHN, Hee-Do 安熙道(韓国海洋科学技術院名誉研究委員)

 〈国際活動奨励賞〉
▽石渡幹夫(国際協力機構客員国際協力専門員、世界銀行上級上下水道専門官)
▽梅田智樹(安藤・間国際事業本部タイ王国クルンテープ高速作業所所長)
▽大串哲也(飛島建設国際支店インドネシアタンジュンプリオク作業所所長)
▽大迫一也(清水建設国際支店ジャカルタ営業所ジャカルタ地下鉄建設所長)
▽大島孝博(前田建設工業香港支店MTRカーナボン作業所長兼工事部マネージャー)
▽定松道也(大林組海外支店土木営業部副部長)
▽重山琢治(三井住友建設国際支店カンボジア国プノンペン排水作業所所長)
▽鈴木誠一(東京電力本店建設部付・出向、東電設計海外事業本部海外水力部水力開発第一グループ課長代理)
▽田中重明(大成建設国際支店土木部積算室次長)
▽仁田聡(佐藤工業シンガポール支店ニコルハイウェイ地下道建設工事所長)
▽原田達夫(アフリカ開発銀行運輸通信局運輸二部主席運輸技師)
▽丸高茂幹(鹿島海外土木支店アルジェリア東西高速道路建設工事共同企業体第3工事務所所長)
▽宮里達也(日本工営コンサルタント海外事業本部水資源エネルギー部部長)
▽薬丸信(フジタ国際事業部建設統括部土木部)
▽渡部要一(港湾空港技術研究所地盤研究領域長)

 〈国際活動協力賞〉
▽KO,WuTe 柯武徳(正修科技大学土木および空間情報学科准教授)
▽Jorge MULLER ホルヘ・ミューラー
▽SHIH, Wen‐Hsioung 施文雄
▽Phan Le BINH ファン・レ・ビン
▽SUN, Limin 孫利民

 〈技術功労賞〉
▽青山實伸(中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋金沢支店道路技術部上席調査役)
▽伊藤昭夫(ジェイアール東日本コンサルタンツ東北支店技術管理部長)
▽兼行啓治(元山口大工学部技術長)
▽上久保正義(大林組東京本店土木事業部工事第一部担当部長)
▽來島輝武(中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京土木技術部舗装担当部長)
▽粂川高徳(栃木県立小山北桜高等学校教頭)
▽辻井孝(鹿島中部支店伊勢湾横断シールド統合事務所所長兼浄心・八幡雨水幹線統合工事事務所所長)
▽古川裕(鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北陸新幹線第二建設局次長)
▽吉武邦夫(清水建設土木東京支店工事長)
▽渡邉博(飛島建設九州支店土木部担当部長)
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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