東鉄工業は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東京都内で実施している山手線東京駅~有楽町駅間・有楽町駅部のレンガアーチ高架橋耐震補強工事を進めている。同社はこれまでに中央線の神田駅~御茶ノ水駅間、山手線の新橋駅~浜松町駅間で計6径間のレンガアーチ耐震補強工事を完成させている。繁華街に近く、仮設スペースの確保が困難なほか、一般歩行者が多いなどの厳しい施工条件下で、安全確保や創意工夫を凝らしながら首都直下地震から歴史的建造物を守るための工事が着々と進んでいる。
新橋~浜松町間 日陰町橋高架橋 |
アーチ部は、レンガと鋼製型枠に囲まれた閉塞空間へコンクリートを充填することから、品質を確保するために自己充填性を高めた高流動コンクリートを使った。
アーチ部への充填作業は、一般的なトンネル内の作業に比べ、端部などの作業スペースが限られるため、品質の向上に向け、アーチ内部の充填状況を把握する確認窓を設置するなどの工夫を凝らした。
一方で安全管理にも細心の注意を払い、コンクリート打設中の営業線への影響を監視するため、レール面のリアルタイム観測を行った。コンクリート充填圧力によってアーチ上に敷設されている軌道変状の発生防止の観点からも、充填状況をリアルタイムで監視する必要があり、列車の安全優先のほか、旅客公衆安全に対しても、作業中だけでなく終日の安全配慮を実践した。
工事完了 |
2径間の耐震補強工事を進めている東京駅~有楽町駅・有楽町駅部の耐震補強に当たっては、さらなる創意工夫を重ね、現場条件、作業内容に応じたリスク対策により無事故での完成を目指している。工期は9月末まで。
神田駅~御茶ノ水駅間(万世橋)の現場で主任技術者を務めた東鉄工業の秋山雅俊氏は、「高流動コンクリートの知識や打設方法など、特殊な施工法に対する工夫が必要なほか、狭あいな作業スペースでの工事に加え、列車安全、旅客公衆安全に十分配慮しなければならない現場だったが、発注者・ユーザーともに満足のゆくコンクリート構造物の完成に至った」と振り返る。
また、東京駅~有楽町駅間、有楽町駅部の工事管理者である同社の鈴木徹氏は「より良い品質の構造物を構築し、さらに安全で安心できる歴史的建造物となるよう、工事実績を積み重ねたい」と意気込みを語っている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月17日
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