東鉄工業・佐藤工業JVは、東日本旅客鉄道(JR東日本)発注の山手線高田馬場駅~目白駅間耐震補強工事を進めている。約400m区間の盛り土法面に計160本の棒状補強鋼材を打ち込み、崩壊や沈下を抑制する。オフィスや住居が周辺に密集し、作業スペースが限られるなどの制約がある中、列車の安全を確保しながら、重要幹線の安全レベルを向上するため、作業員が一丸となって取り組んでいる。
工事は、高さ8m以上の盛土区間で線路左右の法面から鋼製の棒状補強材を土中に挿入固定する工法を採用。太さ29-32mm、長さ14-19mの棒状補強鋼材を、法面に縦横2.5m間隔で2段または3段に斜め下35度に挿入し、セメント系材料を補強材周囲に注入して固定する。既設盛土に径170mmの孔を機械で削孔するため、法面上に削孔機械や注入プラント設備の荷重に耐えられる仮設足場を設置している。
作業は除草、既設法枠材撤去、仮設足場設置、削孔、棒状補強鋼材挿入、注入固定、法枠復旧の順で進める。2月に着工し、これまでに山手線内回り側の2段計80本が完了。現在、外回り側に仮設足場を設置して1段目の42本を施工中だ。工期は2015年9月末まで。
◇線路左右から並行作業
主な作業は昼間に実施し、クレーンで機械設備や資材を足場上に搬入出する作業は、列車の安全を優先して夜間作業としている。クレーンを使わない作業も、棒状鋼材などの長尺物を扱うため、作業手順を明確にし、列車運行の安全を始め、足場からの墜落・転落防止に努めている。
今後は線路左右に分かれての並行作業となり、作業量も増大することから、引き続き安全面と品質面に配慮した耐震工事を推進している。 現場代理人の萩原辰裕氏(東鉄工業)の話
「現場は、頻繁に列車が往来する線路脇であり、列車に対する事故防止や限られた作業スペースでの作業に気を配っている。作業場所を有効活用するため、小型軽量化した削孔機械の選択や足場構造など、計画時点からリスクを洗い出し検討してきた。首都直下地震の備えに早期に貢献できるよう全員作業で安全に工事を完成させたい」
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月25日
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