名古屋市港区の中川運河に架かる「中川橋」の架け替えで、アーチ橋(1930年架橋)を横取り工事を行った=写真。現橋をいったん北(上流)側に約37m移動し、新設した下部工に移し替える(旧位置より河口側へ5mへ移動)もので、2017年の全体完成を予定。移動工事は横河工事が担当している。
6月26日から28日の工事では、垂直方向に反力を取る油圧式スライドジャッキと水平にアームを伸張して横取りする機構を備えた水平ジャッキの2種類を使用した。
施工の手順は、まず橋をスライドジャッキでジャッキアップし、既設橋台と仮設橋脚の間にH形鋼のレールを設置。支承を切断し、 橋をスライドジャッキで支えたまま、 水平ジャッキで横取りした。
◇2ヒンジタイトアーチ橋
横取り工法では、水平ジャッキの既設橋台側をクランプで固定、仮設橋脚側を解放し、水平にアームを伸張してスライドさせる。スライド後に仮設橋脚側を固定、既設橋台側を解放してアームを収縮するという手順を繰り返して仮設橋脚まで移動させ、 金属製の仮支承で固定した。
中川橋は長さ47.9m、幅17.4m、重さ約600tの2ヒンジタイトアーチ橋。大正時代に内務省が制定した「道路構造に関する細則案」に基づき設計されたもので、大阪鉄工所(現日立造船)が施工した。寸法単位がフィート・インチでリベット接合されているなど、当時の設計思想や技術をそのまま残しており、市のシンボル的な橋として掛け替えることにした。
アーチ橋部分のみでは道路幅が狭いため、現アーチ橋は都市計画道路梅ノ木線金城ふ頭方面に設置、新たに築地口方面に幅12.5mの橋(非アーチ橋)を架け、計約30mとなるように整備する。
総事業費は約37億円。アドバイザリー業務は東光コンサルタンツが担当している。
中川橋下部工(その1)は淺沼組、同(その2)はフジタにそれぞれ落札決定している。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月9日
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