2013/07/04

【現場最前線】八高線直下を重層立体化 58mをHEP&JESで抜く

東鉄工業・佐藤工業JVは、JR八高線北八王子・小宮間の「石川こ道橋新設工事」に本格着手した。中央自動車道と八高線が交差する厳しい施工環境の下、鉄道運行、高速道路の機能に支障を与えずに線路下に非開削でトンネルを築造するため、58m区間に「HEP&JES工法」を採用し、鉄道工事のエキスパートとして培ってきた技術力を生かし、万全の体制で施工を進める。


◇非開削でトンネル築造

 同工事では、東京都八王子市石川町を起点に宇津木町(八王子バイパス)を終点とする長さ約2㎞の都市計画道路のうち、八高線と中央自動車道が交差する部分をアンダーパスするトンネルを築造する。事業者の東京都が工事発注を東日本旅客鉄道(JR東日本)に委託し、6月27日に現地で安全祈願祭が開かれた。
 施工に当たっては、鋼製の函体(エレメント)をPC鋼線で引っ張るエレメントけん引(HEP)工法と、個々の鋼製函体をつなぐ応力伝達可能な構造のJES継ぎ手を組み合せた「HEP&JES工法」を採用。同工法を採用する区間の長さは58mで、これまでの実績と比べても「比較的長い」(東鉄工業)という。前後の立坑部開削部を合わせた総延長は86mとなる。

◇めずらしい鉄道と高速道路の立体交差

 八高線だけでなく、斜め上空をまたぐ中央自動車道の橋脚を避けてトンネルを構築するため、高い施工精度が求められる。JRの軌道に加え、高速道路への影響を監視するため、土留工の時点から傾斜、沈下などの各種計測機器を設置して計測管理するなど万全の体制で臨む。
 八高線と立体交差する道路を新設することで、鉄道で分断されていた地域交通の利便性向上、緊急車両の通行路や避難路としての防災機能向上を見込む。2018年度の完成を予定している。
 同種大型工事の経験に加え、山梨エリアでさまざま構造物の維持管理などに携わってきた現場代理人の狩野正氏(東鉄工業)は「鉄道と高速道路の交差個所の施工は珍しい。施工延長も長く、 軌道や高速道路基礎への影響監視が重要だ。無事故で高品質な成果品を提供し、 地域社会に貢献したい」と意気込みを語る。
 また、監理技術者の佐藤剛氏(同)は、「厳しい施工条件を一つひとつクリアし、早期に無事故でこ道橋を完成させたい」と現場代理人をサポートする。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月4日

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