伐採跡が道路のルートになる |
急勾配の工事用道路 |
その1つが、岩手県大槌町で行われている波板地区道路改良工事(施工=佐々木組)だ。同工事は、釜石山田道路の主要構造物の1つとなる大槌地区の第1と第2トンネルおよび波板高架橋(仮称)の工事用道路と本線の土工、同高架橋の下部工(A1橋台1基)を施工する。
工事は4月にスタートし、現在は切土工事が進められている。着工当初、うっそうとした樹木が茂っていた現地は約3カ月で伐採が進み、赤茶けた地層が露出した工事用道路が山の上部に向かって延びている。勾配は14度。周辺山地の急峻さを物語る。
現在の作業は樹木の伐採とその木出しが中心。伐採木は、これから橋梁下部工工事や道路改良工事が行われるため現地に置き場がなく、大槌町から周辺の土地を借地し、運搬して集積している。一定程度溜まった段階で売却する。
波板高架橋大槌側起点部となる山頂部からは、釜石山田道路のルートの幅に沿って樹木の伐採跡が見下ろせる。何もない山中に高速道路という基幹交通軸を切り拓いていく土木のスケールの大きさを感じさせる。
同工事では、大槌第2トンネルの坑口に至る工事用道路の整備が終了。今後、ズリ置き場や濁水プラントを設置した後、順調にいけば11月にも掘削に入る予定だ。大槌第1・第2トンネルの施工はともに前田建設工業が担当する。
また、波板高架橋は、現在の工事に含まれている橋台1基以外の下部工工事を、2013年度内にすべて発注したい考えだ。
◇四十八坂地区と山田地区
この波板地区を始め、近接する四十八坂地区と山田地区でも、工事用道路の整備を含む道路改良工事(施工=小澤組)が進められている。ルートが沿岸部の住宅地や谷を避けて急峻な山間部に設定されているため、工事用道路がなければトンネルの坑口など、構造物の施工現場に到達できないからだ。
同区間の工事を所管する南三陸国道事務所の森日吉副所長は「大規模構造物を先行して進めないと工程が遅れるため、専用の工事用道路を造り、山中の構造物を先行させて、そこから両側に土工を伸ばしていくという手法を採用している」と説明する。
さらに、これらの土工事で排出された砕石や砂利は、岩手県発注の土木工事に提供しており、深刻な骨材不足の解消に一役かっている。
復興道路の1日も早い完成へ。各発注者と施工者、地元自治体が一丸となった懸命の取り組みが続く。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月9日
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