2013/07/31

【建築】広島型建築プロポーザルを確立! 魅力を持続的に創造

広島県立府中高等学校(26号棟)
広島県は、魅力ある公共建築物を創造する仕組みの構築やクリエーティブな人材の誘引・育成などを通じて、広島発の魅力ある建築物を持続的に創造していくことを目的に「魅力ある建築物創造事業」に取り組んでいる。最大の目玉は広島型建築プロポーザル。手続中の案件を含め、既に9件の案件で実施しており、試行錯誤しながら独自の方式として確立し、将来的には市町村への普及を目指す。
 また、日本建築学会や日本建築家協会の各支部、広島県建築士会との間で包括協定を締結し、建築分野で活躍する専門家からの英知を結集した連携体制も整っている。中国支局暑中企画特集号では、「魅力ある建築物創造事業」が目指す方向性、実績を積み重ねる広島型建築プロポーザルの実施状況を紹介する。


広島県立芦品まなび学園高等学校(39号棟)
◇広島型のプロポーザル

 「魅力ある建築物創造事業」は、2013年度の新規事業としてスタートした。「魅力ある公共建築物を創造する仕組みの構築」「民間建築物への波及」の2つに区分し、さまざまな取り組みを描いている。
 仕組みづくりの構築については、広島型建築プロポーザル方式を確立させる。県発注の設計案件で積極的にプロポーザルを採用しており、12年度から先行案件として3件、13年度に入ってから3件で設計者を特定するとともに、手続中の案件が3件ある。
 同プロポーザルの特徴は、幅広く参加者を募る観点から、県の有資格者以外の参加も認めている。また、協定を結んだ3団体から審査委員が派遣されるなど、審査体制の充実を図るとともに、将来的な市町への普及をにらみ、市町のまちづくり部局職員の審査への参加も求めている。
 また、プロポーザル参加者による公開プレゼンテーションやホームページ、県民だよりなどを通じて取り組みに関する積極的な情報提供も実践している。
 民間建築物への波及については、人材育成を柱とし、小規模公共施設を対象として学生コンペを実施することとし、参加募集を開始したほか、大学との連携によるインターンシップ制度、民間建築を対象とした表彰制度の創設も視野に入れている。


◇連携協力へ3団体が包括協定

 魅力ある建築物の創造に向け、連携協力に関する協定を締結したのは、日本建築学会中国支部(大久保孝昭支部長)、日本建築家協会中国支部(山田暁支部長)、広島県建築士会(錦織亮雄会長)の3団体。7月2日には、県庁内で各団体長、湯崎知事が出席し協定締結式が開かれた。
 協定の内容は、▽魅力ある建築物、地域環境の創出に向けた取り組み▽魅力ある県内の公共建築物の創造に向けた設計者選定▽県内の若手設計者、建築に関する学生の人材育成▽県内の魅力ある建築物等の情報発信--の4項目に関する連携協力。
 具体的な取り組みは、プロポーザルの制度充実や実施(選定委員の推薦など)に関する支援、人材育成に向けた学生コンペや表彰制度の創設・実施の支援。
 締結式では、各団体が協定書に調印、今後の取り組みに対し、さらに連携を強めていくことを確認した。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月31日

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