2013/07/05

【建築】CAMの最適化機能を意匠に生かす! アルテアの概念設計ソフトINSPIRE

「INSPIRE」 橋梁の構造を最適化している 
エンジニアリングソフトウエア会社のアルテアが提供している概念設計ソフトウエア「INSPIRE」が、建築設計界で注目を集めている。同社の製品群は、エンジニアリング系ソフトが主体だが、最近はINSPIREを建築設計に生かす動きが出ている。
 同社のINSPIREは、「ソフト・キル・オプション」と呼ばれる考え方を提供する構造最適化ツールだ。同社ではトポロジー(位相)最適化と呼んでいる。
 建築や土木の構造部材は、矩形のものが多く、部材の中には応力を負担していない無駄な部分が存在する。このソフトは3次元FEM(有限要素法)解析を部材について行い、材料を最小化や軽量化する。
 こうした技術は既に、航空宇宙分野で航空機の翼のなかにあるリブなどを軽量化するなど数多く使われている。
 建築の世界では、求める建築の3次元モデルについて、ソフト・キル・オプションを実行すると、人間が想定している以上の形状をコンピューターが示すことがある。
 生成されたモデルは、構造的にも的確な性質を持っているため、逆にこのモデルをインスピレーションとして意匠に生かすこともできる。
 アルテアでは、6月末に東京・池袋のメトロポリタンホテルで開いたテクノロジーカンファレンス2013の中で、ソフトについての講演を行った。
 早くからデジタルデザインに取り組んでいた建築家の廣瀬大祐氏は、「建築と構造は分業化が進みすぎて、建築側が構造をコントロールできなくなっている。しかしコンピューターをうまく使えば、建築側が構造を判断しながら設計できる環境が実現できる」と、メリットについて話す。
 また廣瀬氏がスタジオマスターを務め、東京理科大の学生らが組織するデジタルスタジオで実際の建築に応用した事例発表も行われ、来場者の関心を集めていた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月5日

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