日本建築士会連合会(三井所清典会長)は、バージニア工科大学の海外視察団による表敬訪問を受けた。三井所会長は訪問への歓迎の意を表するとともに、アーキテクトとエンジニアが同じ環境で学び、それぞれが建築士資格を持つ日本の資格制度を説明。教育と仕事、職能を取り巻く状況を紹介し、「アーキテクトとエンジニア、施工者がお互いに協力したり対立したりすることで良い仕事ができる」と強調した。
日本の建築家に明るい未来があるかという視察団からの質問に対しては「わたしが学生時代は良い都市づくりを目指していたが、大規模なまちづくりが始まるにつれてアーキテクトもエンジニアも経済の奴隷かと思うこともあった。経済成長の速度をゆるめ、歴史的建造物を大事にするようになれば、より良い仕事ができるようになるだろう」と話した。
バージニア工科大では毎年、各国の建築に携わる教育者や専門家、建築作品などを視察し教育現場へ反映している。ことしは東京のほか、大阪、京都、奈良の建築作品を見学した。
視察団の一員で歴史的建築について研究するグレゴリー・ラトリッジ氏は「東京には経済原理に基づいた超高層のオフィスビルに隣接して低層の住宅があり、丹下健三のオリンピックスタジアムのように時代を象徴する優れた建築もある。このような対比は他の地域には見られない魅力になっている」と指摘。同大で建築や都市計画について研究するロバート・デュネイ教授も「丹下健三や安藤忠雄など、歴史的に価値のある建築が大都市の文脈の中で位置付けられていたのが印象的だった」と今回の視察について語った。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)2013年7月18日
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