2015/12/08

【仙台市営地下鉄】東西線がついに開通!! 震災復興のまちづくり進む荒井駅でも出発式


 仙台市が、2007年2月の着工から約9年の歳月をかけて整備してきた市営地下鉄東西線が6日、震災で事業が一時中断するなどの苦難を乗り越え、待望の開業を迎えた。八木山動物公園駅を起点に、市街地中心部を通り、被災した市沿岸部周辺の荒井駅まで計13駅を延長13.9㎞の横軸で結ぶ。これにより、既設の南北線と一体となって十文字の軌道系交通網を形成。市民生活の利便性向上や沿線開発の促進などに期待がかかる。開業に先立ち5日には、青葉区の仙台国際センター展示棟で開業記念式典が開かれ、復興とその先のまちづくりをけん引する新たな路線の完成を盛大に祝った。写真は広瀬川橋梁を走る車両。

 東西線は、1987年に開業した南北線に続いて2路線目の地下鉄として、03年9月に鉄道事業認可を取得。07年2月には本体土木工事に着手し、一大プロジェクトがスタートした。トンネル工事は、駅舎から地下部は開削工法、平地ではシールド工法を採用した。
 また、13駅のうち、大町西公園駅から青葉山丘陵の八木山動物公園駅までは、約110mの高低差があり、この区間の線路は最大57‰の急勾配と、高度な施工技術が求められることから、市は鉄道建設・運輸施設整備支援機構に工事施行を委託。山間部はNATMで掘り進めた。
 11年3月に震災が発生し、全工区で工事の中断を余儀なくされたが、大きな被害を避けられたことから、発災から約半年後に工事を再開した。資材や人材不足など困難な状況を熱意と創意工夫で克服し、13年7月に全トンネルが貫通。15年2月にはレール締結式にこぎ着け、試験走行など運行に向けた準備作業を進めていた。

大成建設の近藤東北支店長(右)に感謝状を贈呈する奥山恵美子仙台市長

 5日の式典には、奥山恵美子市長や佐藤清市交通局事業管理者、土井亨国土交通副大臣のほか、大成建設の近藤昭二執行役員東北支店長ら工事関係者など約700人が出席した。
 冒頭、あいさつに立った奥山市長は、「震災からの復興を象徴する事業としても、108万市民が1日も早い開業を待ち望んでいた。仙台都市圏の骨格となる交通機関として、路線バスと相まって復興の先の新たな都市づくりを支える存在となる」と力を込めた。その上で「多くの調査・設計・施工各社がその総力を挙げて未来を担うビッグプロジェクトの具現化に尽力し、関係者や市民の期待に応えてくれた」と感謝を述べた。

待望の開業を迎え、東西線に乗り込む市民ら

 この後、設計・施工者代表として奥山市長から感謝状を贈呈された近藤支店長は「東部地域の地下水対策、車や人の通行の激しい都心部での施工、東日本大震災による工事の中断、その後の復興事業の影響など、さまざまな課題もあったが、仙台市交通局ならびに関係者と施工者が一体となって乗り越えてきた。市のみならず、東北の発展に大きく寄与するものと確信している」と話した。
 6日には、被災地に近く、駅周辺では災害公営住宅や集団移転などにより2万人近い新たなまちづくりが進む若林区の荒井駅や、太白区の八木山動物公園駅で出発式が開かれた。沿線各駅や周辺地域でもさまざまな催しが行われるなど、新たな路線の開通に市内は祝賀ムードに包まれた。
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