2014/09/29

【広島豪雨災害】建設中砂防ダムが143世帯守った 事前防災の重要性示す


74人の死者と44人の負傷者を出し、住宅133棟の全壊など甚大な物的被害も引き起こした広島市の大規模土砂災害。被災地域では土石流とがけ崩れを合わせ、166件の土砂災害が群発したが、ある存在がなければ、確実に被害はもっと拡大していた(写真提供・国土交通省)。

 国土交通省中国地方整備局が大町地区に建設中だった砂防ダムは発災時点で、周辺整備を残して9割方が完成し、その性能を十分発揮できる状態に仕上がっていた。

土石流発生前の砂防堰堤(写真提供・国交省)
8月20日の記録的豪雨により、この場所でも土石流が発生した。しかし砂防ダムは、時速百数十kmという猛烈な勢いで迫る土石や流木を見事にせき止め、越流を許さなかった。被害を未然に防ぎ、多くの人命と財産を守ったわけだ。実際に、下流に位置する143世帯はほぼ被害がなかったという。
 砂防ダムの直下にあるのは、高齢者が多く住む市営の古い木造平屋住宅。自民党『土砂災害防止法の改正を検討するプロジェクトチーム』の河井克行座長は、「もし砂防ダムがなかったらと思うと、背筋が寒くなる」と語る。
 数年前には『コンクリートから人へ』などというスローガンが流布されたが、それに関してはもはや論をまたないだろう。
 「実際に現場を歩いていると、砂防ダムに対する地域の皆さんの信頼は厚く、そして、これからもしっかりと整備をしていってほしいという声が高まっている」。現場をよく知る河井座長は、こう力説する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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