2014/09/21

【JFEエンジ】遠隔操作で24時間焼却プラントを監視 売電最適化も

JFEエンジニアリングが、横浜本社に「リモートサービスセンター」を設置した。ここで運営管理中の環境プラントを24時間態勢で監視する。トラブル発生時には遠隔操作も行うプラント運営の支援拠点に育てる考えだ。公共サービス事業部事業企画部企画グループの平田修一グループマネージャーは「将来的に現地プラントの無人化は難しくても、省力化には大きく寄与することだろう」と、支援システムの効果に大きな期待を寄せる。

 財政難を背景に、地方自治体がごみ処理施設の運営を民間に委託する動きが拡大したのは10年ほど前。これまでに同社は15カ所のプラントから一括で運営事業を長期受託している。運営を合理化する手段として開発したのが、遠隔操作によって複数のプラントを支援する『ハイパーリモート』システムだった。
 遠隔操作が可能になれば、24時間の監視態勢を拡充でき、安定操業につながる。トラブルの事前回避もより適切に行える。秋保慶志公共サービス事業部長は「プラントの多くは売電に取り組んでおり、遠隔制御によって売電量の最適化にも寄与できる」と手応えを口にする。
 運営を受託中のプラント15カ所のうち、売電に取り組んでいるのは11カ所を数える。電力小売業(PPS)子会社のアーバンエナジー(横浜市)などと連携し、電力需要に応じた最適な売電サービスの提供体制も整えた。同社は「売電計画との差を最小限に抑え、売電の最適化割合は従来より3%向上できる」(平田グループマネージャー)と試算している。

遠隔支援中のグリーンプラザふじみ
リモートサービスセンターでは、グリーンプラザふじみ(東京都)と新田清掃センター(新潟県)のごみ処理施設2カ所への遠隔支援をスタートした。「燃焼レベルが落ちている。空気の吹き込みレベルを上げてもらいたい」。センター担当者は炉の状況をモニターで監視しがら、現地プラントの中央制御室に指示を送る。このように最適操業のアドバイスを24時間発信し続けている。
 現場の状況を詳しく知る手段としてウェブカメラも積極的に活用している。プラント作業員のヘルメットにも装着し、不具合部分の状況をリアルタイムに確認することも可能だ。現地の制御室は24時間態勢で対応しているが、時間帯によっては担当者が少なくなる場面もある。非常事態の対応も含めリモートセンターが支援役となる。
 既存プラント導入の初期費用は約1000万円。同社は事業者への提案を拡大し、3年以内に10プラントまで遠隔支援の件数を増やす計画だ。センターの担当者は現在2人だが、導入件数に合わせて増員する。秋保部長は「ここを起点にバイオマス発電、下水処理、太陽光発電へのネットワーク化も進め、運営管理サービスを強化していきたい」と強調する。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

0 コメント :

コメントを投稿