ブリヂストンの住宅水道用配管『らく楽パイプ』が前年比5割増のペースで売り上げを伸ばしている。樹脂製の配管はこの10年で一般化し、製品はどれも同じ。「このコモディティ化の状態から抜け出したかった」と、住設機器・設備資材販売促進課課長の大西伸明氏は5年前の開発当時を振り返る。たどり着いたのは、巻き癖のない水道管であった。現場では2人1組で対応していたパイプの敷設作業が1人でも楽に行えるとあって、その評判が口コミで広がっている。
同社が水道管の販売に乗り出したのは1989年。当時は鋼管や塩ビ管が主流であったため、輸入販売で対応してきた。風向きは2000年の水道法改正によって大きく変わる。住宅に樹脂管の使用が正式に認められ、社としていち早く対応した。現在は市場の9割を樹脂管が占めるまでに普及したが、主要の参入メーカーだけでも複数社に達し、競争はし烈を極めている。
差別化商品として販売に乗り出したのは、樹脂管同士をひと手間でつなぐ『ワンタッチ継手』だった。樹脂素材であるため、価格が安く、作業効率も良い。樹脂管の売り上げを下支えする商品として現在も活躍中だが、ライバル各社も同様の商品で応戦し、その優位性は見いだしにくい状況に陥っている。
樹脂製の住宅用水道配管は「ポリブデン」と「架橋ポリエチレン」の素材に大別される。ポリブデンは架橋ポリエチレンに比べてパイプ自体が柔らかく、リサイクルもできる。しかしながら製造工程で3、4日の養生が必要となり、ポリブデンパイプを選択する主要メーカーは同社だけ。樹脂管の7割は架橋ポリエチレンが占めている。
一般化した樹脂製の配管であるが、現場では巻き癖が発生し、作業効率を落とす場面も少なくない。特にスリーブ(貫通孔)を縫うように通す際には一苦労する。場合によっては2人1組で対応することも多いのが現状だ。「巻き癖をなくせないか」と、開発部門が商品化に乗り出したのは08年だった。
ポリブデンの樹脂管製造は専用機械で押し出した後、長さ120m分を巻き取り、ロールの状態で養生させる。住設機器・設備資材開発部の高橋薫氏は「この方法では、どうしても製品にした時に巻き癖が発生してしまう。これを巻き取らず、まっすぐの状態で養生させ、巻き癖を取り除くことに成功した」と明かす。
製造ラインを整えたのは12年7月。当初は直線距離で長さ30mの養生を進めてきたが、現在は60mまで対応できるようになった。同部設備資材開発第1ユニットリーダーの尾上清太朗氏は「パイプ類はミクロ単位で寸法が決められており、少しでも傷が付いてしまえば、漏水の原因になるとはじかれてしまう。まっすぐ養生させると言えば簡単に聞こえるが、そこには多くのノウハウが詰まっている」と説明する。
価格は、巻き癖が発生してしまう通常のポリブデン配管より5%ほど割高。同社は製造設備の更新時期に合わせて生産ラインをらく楽パイプ用に順次切り替えている段階で、販売構成比はまだ2割に過ぎないが、3年後には5割近くまで拡大する見通しだ。「巻き癖なしは当社だけ。製造部門は苦労しているが、簡単にはまねされない点に価値がある」と大西課長は手応えを口にする。
購入先の水道工事会社ではリピート率が高く、噂を聞きつけて新規の問い合わせも絶えない。これまでは住宅用水道配管として、径13-27mmを販売してきたが、最近になって径34mmの太いパイプもラインアップに加えた。非住宅分野の施設では今でも鋼管が主流だが、いずれは樹脂管への切り替えが期待できる。同社は“巻き癖解消”を武器に事業拡大の準備を着々と進めている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
同社が水道管の販売に乗り出したのは1989年。当時は鋼管や塩ビ管が主流であったため、輸入販売で対応してきた。風向きは2000年の水道法改正によって大きく変わる。住宅に樹脂管の使用が正式に認められ、社としていち早く対応した。現在は市場の9割を樹脂管が占めるまでに普及したが、主要の参入メーカーだけでも複数社に達し、競争はし烈を極めている。
差別化商品として販売に乗り出したのは、樹脂管同士をひと手間でつなぐ『ワンタッチ継手』だった。樹脂素材であるため、価格が安く、作業効率も良い。樹脂管の売り上げを下支えする商品として現在も活躍中だが、ライバル各社も同様の商品で応戦し、その優位性は見いだしにくい状況に陥っている。
樹脂製の住宅用水道配管は「ポリブデン」と「架橋ポリエチレン」の素材に大別される。ポリブデンは架橋ポリエチレンに比べてパイプ自体が柔らかく、リサイクルもできる。しかしながら製造工程で3、4日の養生が必要となり、ポリブデンパイプを選択する主要メーカーは同社だけ。樹脂管の7割は架橋ポリエチレンが占めている。
一般化した樹脂製の配管であるが、現場では巻き癖が発生し、作業効率を落とす場面も少なくない。特にスリーブ(貫通孔)を縫うように通す際には一苦労する。場合によっては2人1組で対応することも多いのが現状だ。「巻き癖をなくせないか」と、開発部門が商品化に乗り出したのは08年だった。
ポリブデンの樹脂管製造は専用機械で押し出した後、長さ120m分を巻き取り、ロールの状態で養生させる。住設機器・設備資材開発部の高橋薫氏は「この方法では、どうしても製品にした時に巻き癖が発生してしまう。これを巻き取らず、まっすぐの状態で養生させ、巻き癖を取り除くことに成功した」と明かす。
製造ラインを整えたのは12年7月。当初は直線距離で長さ30mの養生を進めてきたが、現在は60mまで対応できるようになった。同部設備資材開発第1ユニットリーダーの尾上清太朗氏は「パイプ類はミクロ単位で寸法が決められており、少しでも傷が付いてしまえば、漏水の原因になるとはじかれてしまう。まっすぐ養生させると言えば簡単に聞こえるが、そこには多くのノウハウが詰まっている」と説明する。
価格は従来品より5%割高 |
購入先の水道工事会社ではリピート率が高く、噂を聞きつけて新規の問い合わせも絶えない。これまでは住宅用水道配管として、径13-27mmを販売してきたが、最近になって径34mmの太いパイプもラインアップに加えた。非住宅分野の施設では今でも鋼管が主流だが、いずれは樹脂管への切り替えが期待できる。同社は“巻き癖解消”を武器に事業拡大の準備を着々と進めている。
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