◆急ピッチで進む新市庁舎工事 求心力あるシンボルへ
15年3月1日の市政10周年の節目を控え、現在急ピッチで進められているのが新市庁舎工事だ。設計は昭和設計、建築施工は安藤ハザマ・富士建設・三和JVが担当している。
冨塚市長 |
その期待に応え、人や資機材が不足する中でも工程を守り、高品質な建物づくりにまい進する安藤ハザマJVには「しっかり計画を立て、1-2カ月先まで段取りしている。工事のスピード感がいい。無事故で来ていることも素晴らしい」と賛辞を惜しまない。
建物は、構造体である水平のスラブと鉛直の柱という縦横の直線が強調され、方形が積み重なるような複雑な外観を持つ。10月末に完成し、「平坦ではなく、2階に棚を設けたイメージ」と説明する、市の“象徴”にふさわしい真白い独創的な姿を現すことになる。
新たな行政拠点を中心に進められていく今後のまちづくり。中でも冨塚市長が重視するのは、街中のにぎわい創出だ。市庁舎がJR船引駅の近接地に移転することを機に「街中に人を呼び込む。そのためにも、職員には同駅からの徒歩通勤を呼び掛けている」とも。
◆にぎわい創出の仕掛けつくる『UDCT』
さらに、にぎわい創出に向けた仕掛けとして、新庁舎には幅広い用途で市民に開放する多目的ホールを併設する。また、今後は商店街の空き店舗を活用した喫茶スペース、児童らが気軽に使えるポケットパークの設置など、多彩な施策を展開していく考えだ。
豊かな自然に恵まれた高原の街・田村市。写真は船引地区 |
そうした特色を生かした地域づくりが、市と住民団体、東京大学が08年に共同で設立した『UDCT』(田村地域デザインセンター)で、行政区ごとに検討され、具体化しつつある。こうした取り組みが形になり始めているときだけに「さまざまな手法を使い、もっと情報を発信していかなければならない。そのためにも市職員が、一生懸命取り組まなければ住民の協力も得られない」と、職員の意識改革を促しつつ、自ら先頭に立って市の魅力をアピールしていく。
地域活性化には産業振興も不可欠だ。福島空港や磐越自動車道など、恵まれた交通環境を生かした企業誘致は順調で、福島県企業局が整備した田村西部工業団地はほぼ完売。今後は、大越町内への磐越道スマートインターチェンジの設置を踏まえ、同町内の住友大阪セメント跡地を第2の分譲地として取得する予定だ。
また、市内に入院できる医療施設がなく、夜間の緊急患者は郡山市まで搬送しなければならないなど、医療環境の充実が求められている中、主要診療科を備えた地域中核病院の設置に向けて、厚生労働省などの関係機関に働き掛けている。
◆手本は米国の姉妹都市
英語指導助手による授業 |
「地方創生」を柱とするアベノミクス第2弾が具体化される中、市民の新たなシンボルであり、求心力のある行政の砦となる新庁舎が誕生する田村市。これを機に、今後どう発展、振興していくのか。冨塚市長の手腕が注目される。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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