2014/09/21

【BIM】オペレーターの派遣要請急増! ヒューマンリソシア400人送り出し目指す

ヒューマンホールディングスが、労働市場に不足しているBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)人材を育成・輩出する取り組みを本格化している。協働作業によるモデリングのできるBIMオペレーターの育成や法人研修、各社のBIM導入に貢献できるBIMコーディネーターの派遣などを順次展開。初年度に400人の送り出しを目指す。

 人材派遣・正社員紹介を手掛けるグループ会社のヒューマンリソシア(東京都新宿区)は1、2年前から、取引先の設計事務所やゼネコンからBIMオペレーターの派遣を求められることが増えてきた。「当初は即戦力となる人材が求められたが、労働市場にいないため、せめてBIMを勉強した人材が欲しいとの要望に内容が変化している」と、同社コンストラクション営業本部東京営業部の増子洋行部長は明かす。そこで同じグループ会社で社会人を対象に教育事業を展開するヒューマンアカデミー(同)にBIM教育の講座開発を依頼した。
7月に開講した「建築3Dモデリングコース」は、1コマ3時間が12コマの計36時間を一区切りとして初級編、中級編、上級編とBIMスキルをステップアップする構成。受講者はBIMソフト『ArchiCAD』『Revit Architecture』『GLOOBE』のすべてを学ぶことも1つを選択することも可能。住宅向けの『3Dマイホームデザイナー』の講座も開いている。

◆座学から実践まで充実のカリキュラム

 初級編では、まずマウスを置いてBIMの基礎概念を理解する座学から始め、基本操作を学んだ上で、チームによるモデルづくりを学ぶ。「1人が1枚を担当する2次元図面の描き方とは異なり、BIMは1つのファイルに全員が手を加えて上書きしていく。協働作業を前提とした納期への考え方、仕事への姿勢、新しいものの見方が求められる」と山藤友紀教学室商品開発課マネジャーは解説する。3Dプリンター入稿時のデータ修正も経験し、模型により半年間の成果を実感して修了する。

3Dプリンターによる模型。データ入稿時に必要となる出力担当者とのやりとりや不具合の修正などまで学ぶ
現在準備中の中級編と上級編では、より踏み込んだ使い方を学んだ上で、各社のBIM推進組織と一緒になってBIMのワークフローを社員に分かりやすく説明し、進捗管理もできるBIMコーディネーターとしての資質を磨く。教育体制も整え、既に2次元CAD講師約180人のうち約20人をBIM講師として研修済み。全国29校のうち11校を先陣に、順次開講を目指す。
 このような基本のカリキュラムを応用した法人研修もヒューマンアカデミーが展開する。「一般向けには働きながら夜間に週1回通い半年がかりとなるカリキュラムも、法人向けには講師を派遣することで数日間で集中して提供することが可能。直近のプロジェクトで使うソフトに絞ってトレーニングするなど、ニーズに合わせて柔軟に対応している」と話すのは、同社法人営業部首都圏営業課の諸石達也氏。既に大手設計事務所やゼネコンのほか、建材・設備機器メーカーからも引き合いを受けている。さらにグループ外の人材派遣会社からも、スタッフ教育の相談がある。

◆腕一本で渡り歩ける技術を

 ヒューマンリソシアは1980年代に国内初のオートデスク認定校であるヒューマンアカデミーの講座修了者を送り出すことを主目的に設立され、両社で2次元CADオペレーター不足の解消に取り組んだ歴史を持つ。BIM人材についても「今後の建設業界におけるBIMの裾野の広がりに対応するため、登録スタッフのBIM対応比率を高める」(高橋哲雄コンストラクション営業本部長)など育成型派遣に注力、両社が協力し初年度に400人の送り出しを目指す。

セミナーを共催したグラフィソフトの飯田貴氏
25歳から34歳の就職・転職、出産などでリタイアした人材の再就職などを後押しする。6月にグラフィソフトと共催した「3Dモデル&BIMセミナー」には、約40人が参加し、その大半が女性派遣社員の2次元CADオペレーターだった。業務を定量化しやすいオペレーターは派遣やパートの就業形態に適しているほか、腕一本で渡り歩ける職種と両社はみている。物事を立体的、総合的に管理するBIMコーディネーターは、さまざまな産業に通用する人材になるととらえている。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

0 コメント :

コメントを投稿