「男社会」のイメージ払拭へ--。国土交通省と日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会、全国建設産業団体連合会の建設業5団体は、『もっと女性が活躍できる建設業行動計画』を策定し、官民挙げたアクションをスタートさせた。政府全体の方針として、女性の活躍機会の拡大が推進されているが、省庁とその所管業界がタッグを組み、こういったプランを作るのは珍しい。人口減少・超高齢化社会の到来で、産業間の人材獲得競争が熱を帯びていく中、先駆的な取り組みとして今後の成果に注目が集まる。計画策定前には太田昭宏国交相自らが、女性が活躍する建設現場を視察(=写真)。女性技術者と本音の意見交換を行うなど、国交省としての本気度を対外的に発信した。
行動計画では、現在10万人いる女性技術者・技能者を、5年以内に20万人まで倍増させる目標を打ち出した。技術者を1万人から2万人、技能者を9万人から18万人に増やす。
国交省によると、建設業で働く女性数は1997年がピークだった。技術者に関しては当時、人数を把握できる統計データすらなかったが、技能者というくくりでは26万人もの女性が活躍し、全体の約6%を占めていたという。その後、建設投資の減少で必然的に女性も少なくなり、現在に至っている。
ただ最近では、女性技術者は増加傾向にあり、大手クラスの新卒採用技術者の約1割は女性だ。防災・減災やインフラのメンテナンス、老朽化対策など、必要不可欠な事業は今後も尽きない。国交省が公共事業予算の長期安定的な確保に本腰を入れているほか、民間需要の回復基調もあり、技能者の数を大きく左右する「市場規模」を取り巻く潮目も変わりつつある。
久方ぶりに建設業界に追い風が吹き始めたいまこそ、人材の育成・確保に全力を挙げ、その一環として女性の入職も促す。5年後の2019年までには、女性技術者の数を過去最高に引き上げ、技能者の割合を最高比率の約6%まで戻す目標だ。
行動計画には、担い手として期待される女性だけでなく、受け入れる側の業界や企業に対するメッセージも随所に盛り込まれている。女性とともに働く男性側の意識改革や、採用・登用の数値目標設定などによる強い意思の外への発信から、進路選択に影響を持つ教師や両親への理解促進、地域ぐるみで女性を支えるネットワークの構築など、さまざまな切り口で行動計画遂行に当たっての心構えを明文化している。
具体策をみると、好事例の紹介や合同採用説明会の開催、教育訓練・研修施設の充実、女性に関する総合ポータルサイトの創設など、多種多様なハード・ソフト面の取り組みが列挙されているが、「働き続けられる職場環境をつくる」というのが特に重要なテーマの一つではないだろうか。
国交省としては、直轄工事で現場のトイレや更衣室などの整備にかかる積算基準や仕様を検討し順次適用、いずれ標準化したい考え。
業界側には産休・育休や時短制度など、仕事と家庭を両立できる制度の導入・活用のほか、育児期などにおける朝礼参加の柔軟化、作業準備や後片付けの分担・工夫による現場直行・直帰への配慮などが求められている。
今回策定したのは、女性にスポットを当てた行動計画ではあるが、単に女性数を増やすことがゴールではない。
「女性が活躍することで、長時間労働などこれまで男性だけでは解決できなかったさまざまな問題についても、工夫が生まれ、効率的で、より安全で快適な職場環境整備につながる」「女性の活躍と存在感をこれまでにない水準に引き上げ、魅力ある建設業にしていくことは、男女問わずやりがいを持って働くことのできる産業に生まれ変わることとなり、性別・年齢問わず意欲ある担い手の育成・確保につながる」
こんな一文からも読み取れるように、建設業を取り巻く負のイメージを振り払うチャンスでもあり、産業間の人材獲得競争を勝ち抜くための一つのきっかけでもあるわけだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
行動計画では、現在10万人いる女性技術者・技能者を、5年以内に20万人まで倍増させる目標を打ち出した。技術者を1万人から2万人、技能者を9万人から18万人に増やす。
国交省によると、建設業で働く女性数は1997年がピークだった。技術者に関しては当時、人数を把握できる統計データすらなかったが、技能者というくくりでは26万人もの女性が活躍し、全体の約6%を占めていたという。その後、建設投資の減少で必然的に女性も少なくなり、現在に至っている。
ただ最近では、女性技術者は増加傾向にあり、大手クラスの新卒採用技術者の約1割は女性だ。防災・減災やインフラのメンテナンス、老朽化対策など、必要不可欠な事業は今後も尽きない。国交省が公共事業予算の長期安定的な確保に本腰を入れているほか、民間需要の回復基調もあり、技能者の数を大きく左右する「市場規模」を取り巻く潮目も変わりつつある。
久方ぶりに建設業界に追い風が吹き始めたいまこそ、人材の育成・確保に全力を挙げ、その一環として女性の入職も促す。5年後の2019年までには、女性技術者の数を過去最高に引き上げ、技能者の割合を最高比率の約6%まで戻す目標だ。
行動計画には、担い手として期待される女性だけでなく、受け入れる側の業界や企業に対するメッセージも随所に盛り込まれている。女性とともに働く男性側の意識改革や、採用・登用の数値目標設定などによる強い意思の外への発信から、進路選択に影響を持つ教師や両親への理解促進、地域ぐるみで女性を支えるネットワークの構築など、さまざまな切り口で行動計画遂行に当たっての心構えを明文化している。
ゼネコンなどの「なでしこ」15人と意見交換する国交相 |
国交省としては、直轄工事で現場のトイレや更衣室などの整備にかかる積算基準や仕様を検討し順次適用、いずれ標準化したい考え。
業界側には産休・育休や時短制度など、仕事と家庭を両立できる制度の導入・活用のほか、育児期などにおける朝礼参加の柔軟化、作業準備や後片付けの分担・工夫による現場直行・直帰への配慮などが求められている。
今回策定したのは、女性にスポットを当てた行動計画ではあるが、単に女性数を増やすことがゴールではない。
「女性が活躍することで、長時間労働などこれまで男性だけでは解決できなかったさまざまな問題についても、工夫が生まれ、効率的で、より安全で快適な職場環境整備につながる」「女性の活躍と存在感をこれまでにない水準に引き上げ、魅力ある建設業にしていくことは、男女問わずやりがいを持って働くことのできる産業に生まれ変わることとなり、性別・年齢問わず意欲ある担い手の育成・確保につながる」
こんな一文からも読み取れるように、建設業を取り巻く負のイメージを振り払うチャンスでもあり、産業間の人材獲得競争を勝ち抜くための一つのきっかけでもあるわけだ。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)
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