2014/09/02

【復興版】初の道路事業用生コン公共プラントが稼働!! 三陸沿岸道路の早期開通へ

「三陸沿岸道路専用の生コンクリート公共プラントを設置せよ」--。2013年3月の復興加速化会議で太田昭宏国土交通相が指示した公共プラントが完成し、8月31日に岩手県宮古市田老の現地で稼働式が開かれた。プラントの発注は東北地方整備局、建設・運営は大成建設・錢高組・東日本コンクリートJVが担当。同JVが施工する国道45号摂待道路の構造物および近隣工区に築造される9本のトンネル工事に供給する。道路事業で公共プラントが設置されるのは全国初という。3日には釜石市内の公共プラントも稼働する。写真は初練り生コン車の出発。

 復興のリーディングプロジェクトに位置付けられた三陸沿岸道路の整備が順調に進み、大規模トンネル工事が14年度から15年度にかけてピークを迎える。さらに自治体発注の漁港海岸復旧工事などの本格化に伴い、宮古・釜石地区の生コン不足が当初から懸念されていた。太田国交相の“鶴の一声”で両市内への公共プラント設置を復興加速化会議で決めた。
 このうち、宮古市内に設置する公共プラントは、摂待道路工事を受注した大成JVから設置・運営・撤去の設計施工提案を求め、その提案に基づく協議の上で発注された。
 同JVでは3月からプラント製作などの準備を進め、4月に工事着手。7月末までに工事を完了させ、8月上旬からは試験練りなどを行ってきた。
 完成した公共プラントは全自動制御式(2軸強制式)で、1日当たりの製造能力は500m3。200tと50tのセメントサイロ各2基、1時間当たり120t運搬できるベルトコンベヤーなどを備える。
 摂待道路の構造物である摂待第1・第2トンネルや摂待大橋下部工のほか、近隣に築造される田老第1~第5トンネルと崎山第1・第2トンネル、樫内第1・第2トンネルの計9トンネルに生コンを供給する。運営期間は16年12月までで、総製造量は15万m3を見込む。
 一方、釜石地区の公共プラントは、同45号新鍬台トンネル工事を担当する前田建設工業が建設・運営を行う。製造量は約5万m3で、同工事だけで使用する。

宮古地区公共プラントの稼働式には、関係者約130人が出席。冒頭、縄田正東北地方整備局長が「公共プラントの設置は、復興道路を支援する最大のポイントになるもので、生コンの安定供給および全体の工事推進にも寄与する。1日も早い完成に向けて努力していきたい」とあいさつした。
 続いて、永井浩泰三陸国道事務所長のプラント概要説明や、関係者による稼働スイッチ押下、くす玉開披=写真=の後、初練りの生コンを積んだミキサー車が出発した。
 小原克己大成・錢高・東コンJV所長(大成建設)の話「自工区だけでなく、近隣工区で使う生コン製造も担当するため、各社との調整を図りながら、円滑な運営に努める。高品質な生コンを出荷することで、当地域に建設される三陸沿岸道路の早期開通に貢献したい」

◆愛称は「未来の笑顔プラント」
 宮古地区公共プラントの建設および運営を担当する大成建設・錢高組・東日本コンクリートJV(小原克己所長)は、地域の未来をともに考え、共有できる活動を展開する。

畠山愛奈さん図案のPRボード
その一環として、今回のプラント稼働に当たり、地域の小学生を対象に愛称とPRボード図案を募集した。「公共プラントが地域の身近な存在となり、復興の象徴として感じてもらいたい」(小原所長)ためだ。
 田老第一・第三小学校の児童から約130件の応募があり、この中から共通のキーワードとして多かった「笑顔」と「未来」を組み合わせた『未来の笑顔プラント』に決めた。
 プラント正面の壁に設置するPRボードの図案募集には、同じく60件の応募があり、田老第三小6年の畠山愛奈さんの絵が選ばれた。

◆円滑運営と早期復興願う
 稼働式に先立ち行われた竣工式では、代表者が神前に玉ぐしをささげ、公共プラントの安全な運営と三陸沿岸地域の1日も早い復興を祈った。
 神事の後、東北地方整備局の永井浩泰三陸国道事務所長は「本プラントは、三陸沿岸道路および地域全体の復興事業の推進を支援する。安全で円滑なプラント運営と当地域の早期復興およびさらなる発展を祈念したい」と述べた。
 これを受けて大成建設の近藤昭二執行役員東北支店長は「生コンの品質管理に最大の注力を払い、三陸沿岸地域の復興に貢献したい。そのためにも安全・安心を第一にプラントの運営を進めていく」と決意を述べた。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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