2014/09/15

【建築】シーラカンスの「行き止まりのない空間」でつくられた小学校

行き止まりのない空間が、子どもの創意を育む--。東京都立川市に誕生した市立第1小学校等複合施設は、回廊上に配置された教室とワークスペースによって、教室内外の空間を学習の場としてフレキシブルに利用できるというコンセプトで設計された。コンクリート打放しの一見、無機質な外壁の中には、子どもたちが生き生きと自主創造性を育むための工夫が随所に用意されている。写真は中庭2階のテラス。

ゴムが埋め込まれた壁
至る所に設置された間仕切りを動かして空間を区切れば、フリースペースを自在につくることができる。壁の一部は黒板塗装で仕上げられているため、その場が即座に“教室”となる。壁にはゴムが埋められ、掲示物を画びょうで留めることもできる。

教室の扉にも間仕切りが用いられている
設計者であるシーラカンスアンドアソシエイツの赤松佳珠子氏は「道具や空間というきっかけを提供することで、子どもたちや先生が活用方法を見つけ出してほしい」と語る。間仕切りも、半透明のアクリルやスチールなど場所によって使用する素材を変えている。このように、空間の使い方を設計者が提案するのではなく、子どもの自主的な活動によって発見させるという考えがあらゆる個所に生かされた設計となっている。

学校図書館と一体の柴崎図書館
この施設は、第1小学校、柴崎学習館、柴崎図書館、柴崎学童保育所からなる総延べ約1万2000㎡の複合施設。地域間、異世代間連携を促進させる目的で、学校図書館が柴崎図書館の一角に併設されている。こちらにも間仕切りが設けられており、休校、または図書館が休館の日は閉鎖できるように、防犯上の観点からも配慮されている。
 規模は、校舎棟がRC一部S・SRC造3階建て延べ8612㎡、学習館棟がPC一部S造地下1階地上3階建て延べ3228㎡。
 建設地は同市柴崎町2-20-3。施工は大成建設。
建設通信新聞(見本紙をお送りします!)

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