2012/08/03

倒壊の恐れある小中学校が3545棟! 文科省が耐震化率を公表

文科省の調査結果
文部科学省は2日、公立学校施設の耐震改修状況調査結果をまとめた。宮城、福島両県の一部を除く施設が対象で、小中学校の校舎や体育館など12万2069棟の耐震化率は、4月1日現在で前年度比4・5ポイント増の84・8%、耐震診断実施率は0・2ポイント増の99・0%だった。耐震化率100%を達成しているのは、全国1780自治体(学校組合を一部含む)のうち42・1%に当たる750自治体となった。一方で、65自治体はいまだ耐震化率50%未満、483自治体が耐震第2次診断未実施の施設がある。このため文科省は、2次診断や耐震化が遅れている自治体に対し、近く個別に通知を出し、耐震化の早期完了を要請する。
 耐震性が不十分か耐震診断を実施していない公立小中学校施設は15・2%に当たる1万8508棟あり、このうちIs値(構造耐震指標)0・3未満で震度6強以上の地震で倒壊の恐れがある施設は、3545棟と推計されている。都道府県別の内訳は北海道が287棟で最も多く、大阪府の286棟、広島県の225棟、茨城県の203棟が続く。
 都道府県別の小中学校耐震化率を見ると、全国平均を上回ったのは21都府県あり、大規模地震が発生する恐れのある中部地方や宮城、東京、神奈川などで校舎などの耐震補強が進んでいる。耐震化率トップは静岡の98・8%。低いのは広島の62・5%、山口の69・0%などだった。
 学校設置者である市区町村(学校組合含む)別の耐震化率全国ランキングを見ると、100%達成が750自治体ある一方で、65自治体は50%未満にとどまっており、自治体間格差が浮き彫りになった。都道府県別で50%未満の自治体が多いのは、北海道の4市16町、大阪の6市2町、茨城の5市、奈良の3町、広島の1市2町、高知の3市、沖縄の3村。
 小中学校以外の耐震化率は、特別支援学校が92・9%、高等学校が82・4%、幼稚園が75・1%となっている。今後耐震化が必要な建物は、高校5327棟、幼稚園1193棟、特支校399棟ある。耐震診断実施率は、特支校が99・3%、高校が98・0%、幼稚園は92・8%。
 公立小中学校施設は全国で12万2069棟。このうち1982年以降の施設5万2380棟と改修済みを含む耐震性のある施設5万1181棟を合わせた10万3561棟が「耐震性あり」の施設となっている。このため、1万8508棟は耐震性が不十分か耐震診断未実施の施設となる。また、木造小中学校は全体の21・2%に当たる220棟が「耐震性なし」だった。
 文科省は、15年度までに公立小中学校の耐震化を完了させる方針。11年度補正予算と12年度予算で約5700棟分の財源措置を講じており、すべて執行された場合の耐震化率は約90%にアップする見込み。このため耐震性がない建物は約1万2800棟となる。うちIs値0・3未満は約2400棟。今後は、0・3未満だけでなく0・3以上の約1万0400棟の耐震化を促進する。

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