狭小敷地でも存在感を示す |
同住宅は、狭小敷地のスレンダーな躯体から、地中へ基礎杭の長い足が伸びている。姿は見えないが、陰で主役を支える意味もあり「アシナガハウス」と名付けられた。
東日本大震災後、施主の心配もあって地震に強いRC造にすることになったが、支持層までは30mもあり普通につくれば基礎杭のコストがかかる。そこで、限界まで柱梁を軽くしたラーメン構造を採用し「とにかくスレンダーになるよう心掛けた」(基氏)。
◇躯体重量は半分に
柱7本のうち6本は300mm角と細い。コンクリートのふかし(打ち増し)を避けるなど、極限まで躯体を軽くした。これにより、基礎杭の深さを20mに抑えられたことでコストを低減した。基氏とともに設計を手掛けたSML(さいたま市)の西牟田奈々氏は「全体の重さは半分以下になっているのではないか」と、軽量化の実現に満足している。
3階建ての2階部分は、柱の内側に外壁があるため、柱の細さが外からでも確認できる。また、周囲はビルに囲まれているため住宅の上部を開くことができない分、可能な限り窓をとって光を取り入れるようにした。
「狭小住宅には隙間を探れる楽しさがある。細やかな配慮も必要だが、気がつくことは多い」と基氏。「これからもいろいろな構法を追求したい」と、技術と工夫により建築の可能性を発掘する考えだ。
建設地は東京都中央区日本橋浜町。規模はRC造3階建て延べ129㎡。
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