2012/08/06

「素材に対するリアル感が必要」 多摩美図書館の家具を担当した藤江和子氏

講演する藤江和子氏
日本建築美術工芸協会(aaca)は7月27日、東京都渋谷区の建築家会館で、インテリアプランナーの藤江和子氏を招き講演会を開いた。藤江氏は、「時代に応じて建築は変わり、家具のあり方も変わる。空間体験が変化せざるを得ない中で、家具デザインを通じてダイナミックな提案をしたい」と述べ、時代と人、建築と人をつなぐインターフェースとしての家具デザインの役割を強調した=写真。
 藤江氏は「人と人をつなぐ場を作るために」をテーマに、1980年代からの作品を紹介した。建築家とのコラボレーションにより、作品は建築と一体となって人間の行動と建築空間を結び付けている。
 伊東豊雄氏が建築設計を手がけた多摩美術大学図書館では、森のように自由に歩きたくなる空間とするため、実際に模型をつくって本棚の形状や配置を決めた。
 「若い人たちは、素材に対するリアル感が欠落している。素材のテクスチャーをそのまま伝える」ことを重視し、同図書館の家具は木質の表面に塗膜をかけていない。細部にも「人が使う」という視点を持ってデザインし、形だけでなく時代の空気感や空間を家具を通じて人につなげている。

『藤江和子の形象―風景へのまなざし』 AmazonLink

Related Posts:

  • 【インタビュー】建築学会賞作品部門受賞者に聞く 『武蔵野プレイス』の比嘉武彦さん、川原田康子さん  図書館などを併設した複合施設「武蔵野プレイス」(東京都武蔵野市)は、審査員講評で「建築そのものが公共性に対する本質的な解を掲示した」作品として高い評価を受けた。オープンから5年目を迎えた今も年間約160万人が利用している。計画当初は市民から激しい反対運動もあったが、なぜ市民に愛される公共建築となったのか。「受賞できたのは利用者のおかげ」と語るkwhgアーキテクツの比嘉武彦氏と川原田康子氏に、地域社会において公共建築が担うべき役割を聞いた… Read More
  • 【陶芸家×建設業界】焼物文化の真髄を現代建築に 陶芸家・加藤令吉氏と丸勝の挑戦  陶芸家・加藤令吉氏=写真=が建設業界に新風を吹き込む。自然界が持つ壮大なエネルギーや人を思う大切さ、一期一会の作品を首都圏の住宅や公共施設に広めようとする動きである。加藤氏と価値創造型企業を目指す丸勝(本社・千葉県柏市、福田理佳社長)が、平成の世に必要な精神文化を築くために連携。1200度以上の炎を操る陶芸家の技法と思いを現代に打ち出す。陶彩板などを「設置場所、大きさなど、オーナーの好みに合わせて、すべてフルオーダーによる陶彩作品を提供… Read More
  • 【関東学院大】子どもの施設テーマに「建築設計の楽しさ」をOBの慶野正司氏が講演 6/2  関東学院大建築・環境学部建築・環境学科は6月2日、燦葉会・燦建会と共催で、建築家・慶野正司氏講演会『「建築デザインで考えること」…設計実践から』を開く。会場は同大(横浜市金沢区)5号館1号ホールで午後3時に開演する。終了後には燦建会主催の懇親会も開催する。  慶野氏は同大建築学科OB(1979年卒)。講演では2015年度グッドデザイン賞を受賞した「すみれチャイルド」のほか、これまでの作品や現在進行形のプロジェクトを含めて「子どもの施設」… Read More
  • 【名古屋城】天守閣木造復元、賛成が6割強 2万人市民アンケート  名古屋市は1日、名古屋城天守閣の木造復元構想をめぐる整備方法など、その方向性の参考とするため実施した2万人アンケートの結果を公表した。復元に賛成する回答は62.1%となり、現天守閣の耐震改修に賛成する26.3%を上回った。(photo: Miya.m)  アンケート用の書類は先月6日、無作為に選んだ市民を対象に発送していた。河村たかし市長が提唱する2020年7月東京五輪開催に合わせた復元案に賛成する回答は21.5%だった。また、期間に… Read More
  • 【建築人賞】「竹中大工道具館新館」と「大和棟の家」が受賞 大阪士会  大阪府建築士会(岡本森廣会長)は、「第8回建築人賞」の受賞作品を発表した。会報誌『建築人』に掲載された建築作品の中から、『竹中大工道具館新館』=写真(撮影:古川泰造)=と『大和棟の家』を建築人賞に、『西光寺』と『ENDO堺筋ビル』『大野台の家』を奨励賞にそれぞれ選んだ。佳作には、『チュチュアンナグループ本社ビル』『認定こども園せんりひじり幼稚園ひじりにじいろ保育園』『LIGHT SCREEN』『Rich Communication Ho… Read More

0 コメント :

コメントを投稿