2012/08/10

土壌8割を再利用可能! 清水建設がセシウム浄化プラントを公開

実証プラント
清水建設は9日、福島県広野町で土壌中のセシウムを除去する実証プラントと除染作業現場を報道陣に公開した。実証プラントでは、新開発のスクラビング(擦りもみ洗浄)機能によって高い浄化率と減容率とを両立し、最大8割の土壌を再利用できる見通し。最終工程の高濃度汚染土処理を自動化するなど、作業員の安全性も高めた。1m3当たり2万円の処理コストを目指す。
 実証プラントは、環境省による除染技術実証事業の一環として建設した。まず土壌を粒径ごとに分級処理した上で、スクラビング処理を行う。スクラビングでは、粒径63マイクロ-2mmの土壌からセシウムをはがし取って回収する。
 スクラビング機能は、汚染濃度を83-96%まで低減させながら、高濃度汚染土の減容化率も高めた。特殊な薬剤を使って土粒子の表層を薄くはく離しやすくし、はく離量を最小限に抑制して減容化率を高めている。従来は、粒子表面を擦り合わせるだけの処理だったため、必要以上にはく離させる傾向があった。
 最終プロセスとなる高濃度汚染土の脱水作業は自動化することで、作業者の被曝を最小限に抑える。今回の実証プラントは小規模だが、実用化段階では処理能力が1時間当たり40-80t規模のプラントを見込んでいる。
 一方、広野町の除染作業現場では現在、住宅の除染を中心に作業員1300人を投入して作業を進めている。除染対象は住宅1908戸や公共施設、住宅周辺の森林なども含まれる。住宅での進捗率は7割程度。


草の減容化システム
住宅の場合、屋根や外壁を高圧水で洗浄した上で、庭土の表層をはぎ取る。敷地の除染では、線量を測定しながら土壌の表層を除去していく。通常は表層3cm程度を除去するが、土壌によっては深さ10cm程度まで掘り確実に除染していく。2月に0・4-0・5マイクロシーベルトだった測定値は、除染によって0・22-0・25マイクロシーベルト程度まで低下した。森林の除染では、除草した草を圧縮して6-10分の1に減容化するシステムも導入している。


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