「Yo」4つの立方体を接続した特徴的なデザイン |
『Yo』でまず目を引くのは、4つの立方体を接続した特徴的なデザインだ。「バラバラだけど一体感のある、流動化した建築を目指した」と振り返る。自宅や職場とは異なる第3の居場所を設計してほしいというクライアントの要望に応えるうちに「複数の居場所を移動しながら生活するクライアントのライフスタイルにふさわしい、暮らしの中で複数の空間をつないだ住宅になった」という。
こだわったのは空間を『流動化』させる試みだ。
「全体で『流動性』を持った空間をつくろうと意識すると、かえって空間は均質化してしまう」と指摘する。
4つの立方体の配置には最大限の注意を払い、それぞれの配置を微妙に歪ませることで開口部から見える雑木林の景色や光の入り方に変化を付けた。「明るく広い部屋の隣には暗く狭い部屋が共存することで空間のメリハリが生まれ、魅力になっている」と自ら分析する。
明るく広い部屋の隣に暗く狭い部屋が共存することで空間のメリハリが生まれた |
現在、『Yo』は住宅として使用されるだけでなく、クライアントが自社製品を展示するショールームや写真撮影スタジオとしても使われている。また日常の住宅として使用する際にも、それぞれの立方体の内部の機能を季節に応じて入れ替えながら生活しているという。
「異なる印象の空間を集めることで空間が流動化する瞬間がある。最初から流動性のある空間をつくるのではなく、流動化する瞬間に生まれる魅力を生かしたい」と力を込めた。
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